上層部に意見が全然通りません! 唸るプレゼンのコツを教えてくださいQ&A 新任マネジャー駆け込み寺

» 2022年07月06日 17時00分 公開
[井上和幸ITmedia]

Q&A 新任マネジャーの駆け込み寺

プレーヤーとして優秀な成績をあげ、晴れてマネジャーに昇進した……と思いきや、求められる役割がガラリと変わり、初めてのマネジメント業務に四苦八苦している人も多いのでは。上からの理不尽な指示、扱いの難しい部下からの突き上げなど、新任マネジャーが直面しがちなお悩みに答えます。答えてくださるのは、経営者JP 代表取締役社長・CEOの井上和幸氏。

今回のお悩み

Q: 上層部に新しい事業の構想をプレゼンしているのですが、意見が全然通りません。上層部を唸らせる、提言のコツを教えてください。

QA 事前のすり合わせや根回しが大事(写真はイメージ、提供:写真AC)

答え:事前の根回しで「合意しているレベル」に持っていく

A:  友人の部下が、あるコンペに参加した時のことです。そのコンペは、クライアントがオリエンテーションを実施した後に、コンペ参加各社が自社の提案を持ち込むものでした。その部下もオリエンテーションを受け、コンペに参加したのですが落ちてしまいました。上司である友人が、なぜ部下の提案が落ちてしまったのか、たまたまクライアントの社内に知人がいたため裏話を探ったところ、某・競合相手はオリエンテーションを受けた後、そのオリエンテーションの責任者に個別にアポをとって、コンペの意図などのすり合わせをやっていたそうです。もちろんコンペで採用されたのは、その競合相手でした。

 この例で分かる通り、事前のすり合わせや根回しは非常に大事です。社外の商談のみならず、社内であってもぶっつけ本番ではなくて、「どういうものを望んでいるのか」「どんなものを作るべきなのか」探りを入れたり、ヒアリングしたりする必要があります。

 もちろん毎回上層部に確認に行く必要はありません。ただ、要所要所で「プレゼンの準備してて、今こんな風に進めようと思ってるんですがどうですか?」と聞き、すり合わせをしましょう。

 これは上層部にこびへつらっているわけではありません。物事をうまく決めるため、決めてもらうための行動なのです。

 上層部に決裁をもらう案件では、稟議などを初見で会議の場で出して審議するよりも、あらかじめ関連する決裁者に見せ、すり合わせをしておくほうが良いでしょう。プレゼンのときには合意しているレベルになっているという状態ですね。その方が、決める人にとっても決めやすいのです。

 プレゼンの場では、初見の提案よりも、事前に自分の意見が取り入れられていて自分が後押ししている案のほうが賛成しやすいです。これは心理学的なテクニックで、人はたとえ同じものを提案されても、他人が提案してきたものはノー、自分が考えたものはイエスと言いやすい性質を利用したものになります。

 この質問の前提の話になりますが、上層部をうならせることを言ったら反発されます。上層部がイエスと言いたくなるようなことを提案しましょう。ぎゃふんと言わせたい気持ちは分かりますがうならせに行くスタンスはやめて、勝ちに行くなら大人になりましょう。

 もちろん、いやがらせ目的だったり、ヒアリングに対して何も答えてくれないのは上層部の問題です。

著者紹介:井上和幸

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株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

早稲田大学政治経済学部卒業後、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。その後、現リクルートエグゼクティブエージェントのマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。2万名超の経営人材と対面してきた経験から、経営人材の採用・転職支援などを提供している。2018年、経営人材が集う会員制プラットフォーム「KEIEISHA TERAACE」を立ち上げる。また、著書には、『社長になる人の条件』『ずるいマネジメント』他。「日本経済新聞」「朝日新聞」「読売新聞」「週刊東洋経済」「週刊現代」「プレジデント」フジテレビ「ホンマでっか?!TV」「WBS」その他メディア出演多数。


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