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トランスジェンダーは「勤務フロアから2階以上離れたトイレ」の使用のみ認める──違法ではないのか弁護士・佐藤みのり「レッドカードなハラスメント」(1/3 ページ)

» 2022年07月05日 11時00分 公開
[佐藤みのりITmedia]

連載:弁護士・佐藤みのり「レッドカードなハラスメント」

ハラスメント問題やコンプライアンス問題に詳しい弁護士・佐藤みのり先生が、ハラスメントの違法性や企業が取るべき対応について解説します。ハラスメントを「したくない上司」「させたくない人事」必読の連載です。

 性的少数者に関するハラスメント問題は、人間関係を巡るものばかりではありません。トイレや制服など、男女で分かれているものについて、職場がどのように配慮していくべきか、裁判で争われることもあります。

 トイレの使用を巡って争われた事例をご紹介します(一審:東京地裁2019年12月12日判決、二審:東京高裁21年5月27日判決)。

 Eは、身体と戸籍上の性は男性ですが、心の性は女性のトランスジェンダーです。健康上の理由で性別適合手術は受けていませんでしたが、勤務する経済産業省から、女性の服を着用するなど女性として勤務することを認められ、女性として日常生活を送っていました。しかし、トイレについては、勤務フロアから2階以上離れた女性トイレの使用しか認められず、国に対して慰謝料などを求め、裁判を起こしました。

 国側は「Eの身体的性別や戸籍上の性別が男性であることに伴って、女性職員との間でトラブルが生じるおそれがある」と主張しました。

トランスジェンダーのトイレ利用 裁判所の判断は?

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