巧妙化する“スマホのみ販売拒否” 「完全分離」「上限2万円」は健全か?房野麻子の「モバイルチェック」(1/3 ページ)

» 2022年06月28日 10時18分 公開
[房野麻子ITmedia]

 総務省は6月22日に「競争ルールの検証に関するWG(第33回)」を開催した。このワーキンググループは、2019年10月施行の改正電気通信事業法で整備された通信料金と端末代金の完全分離、行き過ぎた囲い込みの是正のための制度によって、携帯電話市場の競争環境にどのような影響があったかを評価・検証するために開催されている。

19年に施行された改正電気通信事業法で定められた内容。値引きの上限2万円や違約金の上限1000円などが決められた。なお、現在違約金を徴収するMNOはなく、ユーザーはいつでも乗り換えできる環境になっている

 第33回では、このワーキンググループが取りまとめる「競争ルールの検証に関する報告書2022(仮称)」の内容の方向性が引き続き議論された。

単体販売拒否の手法が巧妙化

 通信料金と端末代金が完全分離され、通信契約とセットで端末を購入する場合の値引きは上限2万円までに制限されている。しかし、端末の単体販売の場合は値引きに上限はない。また、キャリア各社が提供している端末購入サポートプログラム(ドコモの「いつでもカエドキプログラム」やauの「スマホトクするプログラム」など)は、自社ユーザー以外も利用できる。つまり、例えばソフトバンクユーザーでもドコモやauの端末を購入することができる。

端末値引きの構造。通信契約とセットで販売する場合は2万円の上限規制があるが、端末単体で販売する場合は値引きに制限はない

 しかし、20年の覆面調査では、店頭での非回線契約者に対する端末単体販売を拒否する事例が見られた。そこで「競争ルールの検証に関する報告書2021(報告書2021)」では、ドコモやソフトバンクなど、MNO3社に対し是正を要請。各キャリアも店舗スタッフの再研修や販売マニュアルの見直しを行って、正確な説明や周知の徹底に努めるとしていた。

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