“大人様ランチ”に“ラムネ菓子”……「大人向け」リメイクで大成功する企業が増加のワケ 古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/2 ページ)

» 2022年06月24日 08時00分 公開
[古田拓也ITmedia]

 今月に発表されたカツ丼チェーン「かつや」の月次売上高が急成長している。同社を経営するアークランドサービスホールディングスによれば、2022年12月期におけるかつやの月次売上高は、4月の100.8%から5月の114.5%へと急成長していた。

 その背景は、オムカレーやエビフライ、チキンカツといったボリュームのあるラインアップで構成された「大人様ランチ」が、5月12日から期間限定で販売されたことによるものである。

かつやプレスリリースより

 「大人様ランチ」では「お子様ランチ」の料理を大人向けにリメイクしたもので、ボリューム感が増加している。このように、子供の頃に馴染みが深かった商品を「大人向けリメイク」することで成功を収める企業が近年増加している。

ラムネ菓子の「大人向けリメイク」

 近年、最も顕著な大人向けリメイクの例といえば「ラムネ菓子」ではないだろうか。一昔前までは、ラムネ菓子といえば単純な子供むけのお菓子という認識だったはずだが、今ではビジネスマンのパフォーマンスを上げるツールとしての側面が強まっている。

 森永製菓の商品パッケージをみると、いずれのラムネ商品にも「ブドウ糖含有率」が記されるようにリメイクされている。

森永製菓Webページより

 このブドウ糖含有率の表記は、少なくとも14年ごろまでは存在していなかった。しかし、17年〜18年ごろにかけて、まずは受験生などの間でブドウ糖が集中力にプラスとなり、ラムネが手軽にブドウ糖を摂取できるお菓子として流行した。

 その後、受験生だけでなく学生やビジネスマンのような集中力が要求される世代にも、ラムネ人気が広がった。現在では「ラムネ」という名称そのものだけではなく、「ブドウ糖」も大きくフィーチャーするに至っている。

 20年3月の森永製菓の決算では、甘酒やキャラメルといったロングセラー商品が前期比売上高を減少させるなか、ラムネ菓子は前年比で57%増の売り上げを示すなど、ブランドの大人向けアレンジが業績にもプラスに作用していたのである。

 ラムネ以外にも、例えば明治製菓の果汁グミブランドからレモンピールをメインに据えた「大人果汁グミ」といった新商品もリリースされた。

 パッケージには「大人になったあなたへ」という文言が記されていることから、小さい頃に親しんだブランドを大人向けにアレンジした商品がもたらす顧客層の広がり効果は一定の成果を出していると考えられる(本商品は残念ながら22年3月に販売終了となったが、巷ではまだ一定の数量が流通しているようだ)。

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