高い賃料でも人気! 住居とお店が合体した「小商い物件」がじわじわ増えている理由古い木造一戸建てが“人気物件”に(1/4 ページ)

» 2022年06月24日 06時00分 公開
[中川寛子ITmedia]

 高度経済成長期以来、長らく住まいと働く場の間には距離があった。だが、東日本大震災以降、その距離は縮まり始めており、コロナ禍を経て、一部ではぐんと近くなった。その代表的なものがリモートワークであり、街中で見かけるようになったものとしては「小商い」がある。

不動産 東京都練馬区の古いアパートを改装、小商いスペースを設けた欅の音テラス。ここの成功を受けてオーナーは隣接する他物件も同様のスタイルに改装、募集が始まっている(写真提供/つばめ舎建築設計)

社会、経済、暮らしを再考した時に小商いがあった

 小商いとは、わずかな資金で始める身の丈にあった小さな商売のこと。東日本大震災以降、それまでの社会、経済、家族の在り方を再考する人が増えたといわれるが、そのひとつのキーワードが小商いだ。

 都会の暮らしには、自分でコントロールできることは少ない。また、これまでのように働く場と暮らす場が遠く離れている状況下で災害に見舞われた場合は、家族を不安に陥れる。震災後、そこに不安を覚え、身の丈にあった自分の手でコントロールできる暮らしや働き方を模索する動きが生まれた。そして、経済成長を疑う声も出始めた。

 それを象徴するのが2012年以降に複数出版された、「小商い」に類したキーワードを掲げた書籍だ。

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