高度経済成長期以来、長らく住まいと働く場の間には距離があった。だが、東日本大震災以降、その距離は縮まり始めており、コロナ禍を経て、一部ではぐんと近くなった。その代表的なものがリモートワークであり、街中で見かけるようになったものとしては「小商い」がある。
小商いとは、わずかな資金で始める身の丈にあった小さな商売のこと。東日本大震災以降、それまでの社会、経済、家族の在り方を再考する人が増えたといわれるが、そのひとつのキーワードが小商いだ。
都会の暮らしには、自分でコントロールできることは少ない。また、これまでのように働く場と暮らす場が遠く離れている状況下で災害に見舞われた場合は、家族を不安に陥れる。震災後、そこに不安を覚え、身の丈にあった自分の手でコントロールできる暮らしや働き方を模索する動きが生まれた。そして、経済成長を疑う声も出始めた。
それを象徴するのが2012年以降に複数出版された、「小商い」に類したキーワードを掲げた書籍だ。
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