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「AFロック」に「置きピン」、役目を終えた撮影テクニックたち荻窪圭のデジカメレビュープラス(1/3 ページ)

» 2022年06月12日 07時20分 公開
[荻窪圭ITmedia]

 昔、定番中の定番だったのにいつの間にかその役目を終えてしまった撮影テクニックっていくつかあるよなと思ったのである。

こちらへ向かってくる猫を撮るのは昔は大変だったが、今はコンティニアスAF+動物瞳認識AFで誰でも簡単に撮れる。ニコン「Z 9」で撮影

 友人のカメラマンがSNSに「若いカメラマンがフォーカスロックを知らなかったので驚いて教えた」って話を書いてたのがきっかけだ。そういえば、確かに自分でもフォーカスロック使う機会がすごく減ってるよなと気づいたのである。

 昔「撮影術」という初心者向けのデジカメ撮影講座を連載してた頃は定番のテクニックで「フォーカスロック」とか「置きピン」って何度か紹介したのに、いつの間にかそんなこと知らなくても問題なくなったのだ。

2004年に書いたデジカメでペットを撮る話。置きピンやフォーカスロック使いまくりである

 なんか惜しい気もするので、AF性能の進化によって不要になった撮影テクニック、というテーマでちょいと書いてみたい。

フォーカスロックは不要になった?

 フォーカスロック、あるいはAFロックという定番の技があった。いや、今でもあるんだけど、昔はそれを覚えてないとどうしようもない事情があったのである。

 一眼レフって昔も今もそうなんだけど、イメージセンサーとは別にAF専用のセンサーを別途持っていて、レンズに入った光の一部をそっちに送ってやり、そのセンサーでオートフォーカスしてる。

 今でこそAF測距点が40とか50とかあるけれども、当初は、特にエントリー機ともなると3から9と少ない測距点しかなかったのだ。

デジカメ初期のエントリー機、ニコン「D40」(2006年12月発売)のファインダー。AF枠が3点しかない!

 ピントを合わせたい被写体をその測距点のどれかに合わせなければならなかったし、しかも、当初はたくさん測距点があっても「一番高性能なのは中央の1点」だったので、できれば中央のAFセンサーで合わせたい。

 主要被写体が中央にあるときはいいけど、大抵の場合、ピントを合わせたい対象は構図の右にいたり左にいたり下にいたりする。

 そこでまず主要被写体を中心に持ってきて、そこでシャッターボタンを半分だけ押す。半押しするとAFが動作し、そこでフォーカス位置が固定されるので、指を半押しの状態のままカメラを動かして撮りたい構図に持っていき、撮影するのが当たり前になった。

 これがAFロックやフォーカスロックと呼ばれる手法だ。

 背面にあるAFボタンを親指で押してロックする「親指AF」という方法もある。

 実のところ、MF時代もフォーカスをきちんと合わせたいときはファインダーの中央にあるスプリットイメージで合わせたのち構図を決めて撮っていたので、昔からの当たり前の手法だったのだ。

フィルム一眼レフのニコン「FE」のファインダー。中央部が「スプリットイメージ」になってて、ここで上下の絵がつながるようにピントを合わせるのが一番正確だった

 その頃から使ってる人は、いったん中央で合わせてAFロックする撮り方が体に染みついてるよね。

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