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富士通の“政府認定クラウド”への不正アクセス、ロードバランサー内で任意のコマンドが実行できる状態だった 被害状況の調査結果

» 2022年06月08日 16時53分 公開
[吉川大貴ITmedia]

 富士通クラウドテクノロジーズのパブリッククラウド「ニフクラ」「FJcloud-V」が不正アクセスを受け、一部ユーザーの認証情報などが盗まれた可能性がある件について、同社は6月7日、不正アクセスの原因となったロードバランサー(負荷分散用の装置)が、一時的に任意のコマンドが実行できる状態にあったことなどが分かったと発表した。

 富士通や専門機関などと合同で行った調査で判明したという。調査では他にも、(1)不正アクセスは、ロードバランサーの脆弱性を悪用したものだったこと、(2)ロードバランサー上に、サーバ証明書をはじめとしたユーザー証明データが圧縮されたファイルがあったこと、(3)2022年5月4日〜11日の一部タイミングで、ロードバランサーを経由した通信の情報を集めた痕跡があったこと──が分かった。

photo 富士通などによる調査結果

 ただし(3)について、個人情報やユーザーの認証情報が収集された痕跡は確認していないという。どんな情報が収集されたのか、ITmedia NEWSが富士通に聞いたところ「公表していない」として回答を控えた。

 ニフクラとFJcloud-Vは、政府のクラウドサービス認定制度「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度」(ISMAP)の登録を受けたサービス。不正アクセスについて発表したのは5月16日で、ロードバランサーの脆弱性を突かれ、ロードバランサーを経由した情報やロードバランサー上にあるユーザー証明データなどが盗まれた可能性があるとしていた。

 6月1日には、ロードバランサーを復号後の通信パケットが通過していたことが判明。ニフクラとFJcloud-Vで提供しているメール配信機能「ESS」で配信したメールの本文データなどが、復号された状態でロードバランサーを通過しており、情報を窃取された可能性があると発表していた。

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