廃業決めた老舗和菓子店を救済 社長が語った「マクドナルドを見習え」の真意「匠紀の国屋」として始動へ(1/2 ページ)

» 2022年05月26日 18時00分 公開
[濱川太一ITmedia]

 看板商品「相国最中(しょうこくもなか)」などで知られ、5月16日に廃業を発表した和菓子店「紀の国屋」。26日、スイーツのインターネット販売を手がけるアイ・スイーツ(東京都文京区)は、紀の国屋の元従業員20人を雇用し、「匠紀の国屋」として新たに事業を始めると発表した。廃業の発表からわずか10日で新ブランドでの再始動が決定――という急転直下の事態に驚きの声が上がる。この間に一体、何があったのか。アイ・スイーツの社長に話を聞いた。

和菓子店「紀の国屋」は5月16日に突然の廃業を発表し驚きが広がっていた(同社公式Webサイトより)

 「復活させたいというよりも、社員の方が職を失うのは非常に悲しい出来事ですし、救ってあげたいなという気持ちからです。厳しくなって廃業した理由も、紀の国屋自身だけの問題じゃないと聞いていました」

 こう話すのは、アイ・スイーツ社長の稲垣富之さんだ。稲垣さんは以前から、紀の国屋の社員と面識があり、社員の窮地に何かできることはないかと、元従業員らに声をかけたという。

 「ボランティア的な意識が先走って動いています」と稲垣さん。テナント探しにも着手し、不動産事業者と交渉。事情を説明すると「家賃を安くします」などと協力に応じてくれたという。「多くの人の支えがあった。それだけ紀の国屋が愛されてきた証だと思っています」と稲垣さんは話す。

「紀の国屋」が発表した廃業のお知らせ

 アイ・スイーツは現在、「匠紀の国屋 国分寺店」(東京都国分寺市)の6月1日オープンを目指し、店舗の内装工事などを急ピッチで進めている。従業員らは製造機械の準備やオペレーションの確認に夜を徹してあたっているという。「商品の安定供給という点ではまだ満足な状況に至っていないので、オープンが遅れる可能性もあります」と稲垣さんは話す。

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