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女性管理職比率51%のイケア 3店舗兼務の女性店長に聞くキャリアの歩み方自分で手を挙げないと変われない(1/3 ページ)

» 2022年05月19日 07時00分 公開
[濱川太一ITmedia]

 2020年から東京都内に相次ぎ出店し、新たなファンを開拓するスウェーデン発祥の家具大手イケア。この都心3店舗(原宿、渋谷、新宿)の店長を、一手に担う女性がいる。青木エリナさんだ。店長の3店舗兼務はイケア・ジャパンでは初めて。留学先のフィンランドでイケアとの“運命的”な出会いを果たし、5度の挑戦で入社試験をパスした。本社の受付業務からスタートし、都心型店舗の責任者を務めるに至った青木さんに、これまでのキャリアや仕事観、そして「ジェンダー平等」を掲げるイケアの社風について聞いた。

都心型3店舗の店長を務める青木エリナさん(提供:イケア・ジャパン)

 「店長の兼務はすごいことではなく、コワーカー(一緒に働く仲間)のサポートと励ましで今の私があります」

 謙虚な語り口に、深い経験と人望がにじむ。

 青木さんは、イケアの日本1号店(Tokyo-Bay、旧船橋店)開業を翌年に控えた05年に入社。本社機能を持つ「サービスオフィス」での受付業務からスタートし、その後、店舗でのマーケティング担当や「カスタマーリレーションズ」の部門長を経験。20年6月の原宿店オープンに合わせて、店長(イケアでは「マーケットマネジャー」)の社内公募に応募した。

社命による異動が存在しないイケア

 イケアには、会社の命令で従業員を配置転換する「人事異動」が存在しない。代わりに、従業員が自分のライフステージやモチベーションに合わせて、自身でチャレンジしたいポジションを選べる社内公募制度「OPEN IKEA」を導入している。逆に言えば、「自分から手を挙げないと変われない」(青木さん)仕組みだ。

 店長就任は時期尚早と考え、当初は応募するつもりがなかったというが、上司に背を押されて挑戦し、見事に選出された。その後に開業した渋谷、新宿店でも段階的に店長を担当し、この4月からイケア・ジャパン初となる店長の3店舗同時兼務となった。

 都心型3店舗は、イケアの新たな取り組みとして20年以降にそれぞれオープンした。従来の郊外型店舗が常時9500アイテムをそろえるのに対し、売場面積が限られている都心型店舗は1600〜2000アイテムを厳選する。

2020年11月にオープンしたイケア渋谷店(写真:イケア・ジャパン提供)

 近距離に位置する3店舗にも、それぞれ客層やサービスが若干異なる。原宿、渋谷の両店は1人暮らしの若年世代の客層が多いのに対し、新宿店は家族連れが多い。また、渋谷店では4月のリニューアルで法人向けサービスやアイテムを拡充するなど、3店舗でそれぞれの違いや特色を打ち出している。

 青木さんは日々の店長業務について「決まったルーティーンはなく、毎日いる場所が異なる。1カ月のうち休日を除いた約20日間を、3分の1ずつ各店舗に割くイメージ」と話す。

原宿店(左)は20年6月、新宿店(右)は21年5月にそれぞれオープンした(提供:イケア・ジャパン)
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