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Nゲージの模型をラズパイで動かす “らずてつ”その8――スタートボタンを取り付けてみる名刺サイズの超小型PC「ラズパイ」で遊ぶ(第59回)

» 2022年05月01日 07時00分 公開
[岩泉茂ITmedia]

 ここまでの連載で、鉄道模型をラズパイでコントロールする方法についてイメージがつかめてきたかと思います。そこで最終目標の「トミックスレイアウトベースキット」に似た形で線路を配置し、シミュレーションしていきたいと思います。

 まずセンサーですが、2つある引き込み線にそれぞれ1個ずつ、またポイントの近くに1個ずつの計4個を配置します。センサーは以前工作した「TPR-105」です。以前は「S280」の長いレールに取り付けていましたが、短い「S140」のほうが取り回しが効きますので、こちらに変更しました。また「D.C.フィーダーN」の取り付け箇所にTPR-105を通す形で作りましたが、リード線の穴を開けた方がよいと思い、変更しました。

 これらを組み込んだのがこちらのレイアウトです。レイアウトベースキットではループを描いていますが省略し、カーブも「280-45」から半径が小さい「C343-45」にしてあります。

Raspberry Pi レールにTPR-105を取り付ける
Raspberry Pi 背面はホットボンドで絶縁
Raspberry Pi 組み上げたレイアウト

 また、センサーがしっかりと動作しているのかを知るためにLEDをセンサーの抵抗と並列に入れました。センサー上を模型が通過して反応すると点灯する仕組みです。

Raspberry Pi センサーの抵抗と並列にLEDを取り付ける
Raspberry Pi 実際に設置している様子

 さてレイアウトですが、ボタンを押したら模型が走り出すようにしてみたいと思います。ボタンの入力についてはgpiozero「Button」というクラスで扱えます。ボタンが押されたらLEDが点灯する、という仕組みは以下のプログラムで実行できます。

#!/usr/bin/env python
# -*- coding: utf-8 -*-
from gpiozero import Button, LED
button = Button(13)
led = LED(26)
try:
    while True:
        if button.is_pressed:
            led.on()
    
        else:
            led.off()
except: KeyboardInterrupt
led.off()
button.py

 ここではラズパイのGPIO26(37番ピン)にLEDを接続し、ボタンスイッチをGPIO13(33番ピン)とGNDに接続しています。ボタンを押すとLEDが点灯し、Ctrl+Cでプログラムを終了します。

Raspberry Pi ボタンスイッチの配線

 このプログラムを「button.py」として保存しましょう。

$ python3 button.py

 と入力すると、ボタンを押すとLEDが光ります。

 クラスButtonにはこの他、ボタンが押されるまで入力を待つ「button.wait_for_press()」があります。これを使うことで、ボタンを押したら模型が発車する仕組みを作ることができます。gpiozeroのチュートリアルにあるサンプルプログラムを使うことで、この仕組みを知ることができます。

#!/usr/bin/env python
# -*- coding: utf-8 -*-
from gpiozero import Button
button = Button(13)
button.wait_for_press()
print "ボタンが押されました"
buttonpush.py
$ python3 button.py

 では実際に模型が発車するようにしましょう。前回、センサーで模型を動かしたものを改造して使います。プログラムは以下のようになります。4つ取り付けたセンサーのうち、引き込み線にある3と4のセンサーを使って反転させています。

#!/usr/bin/env python
# -*- coding: utf-8 -*-
from gpiozero import Motor, Button, MCP3008
import time
motor = Motor(forward=20, backward=21)
button = Button(13)
sen03 = MCP3008(channel=2)
sen04 = MCP3008(channel=3)
speed = 0.25 # 模型のスピード
button.wait_for_press()
try:
    motor.forward(speed)
    
    while True:
        rail3 = round(sen03.value * 100,2)
        rail4 = round(sen04.value * 100,2)
        print (rail3, rail4)
        time.sleep(0.01) #センサーの読み取り間隔
        if rail3 >= 50: # フォトセンサーの返り値が50以上であれば反転
            motor.stop()
            time.sleep(1)
            print("sensor1 detected")
            motor.backward(speed)
            time.sleep(15)
            motor.stop()
            time.sleep(1)
        if rail4 >= 50:
            motor.stop()
            time.sleep(1)
            print("sensor2 detected")
            motor.backward(speed)
            time.sleep(15)
            motor.stop()
            time.sleep(1)
        else:
            motor.forward(speed)
except: KeyboardInterrupt
print ("\nStop")
motor.stop()
movetest3.py

 これを「movetest3.py」として保存し、以下を実行してみましょう。引き込み線から発車した列車が、反対の引き込み線で反転して戻ります。

$ python3 movetest3.py

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