バックアップがランサムウェア対策にならない納得の理由バックアップしても被害は発生

多くの理由でバックアップは必要だが、「ランサムウェア対策」としては無意味になりつつある。サイバー犯罪者は、対象がバックアップしていることを織り込んでいるからだ。

2022年04月20日 08時00分 公開
[Alex ScroxtonComputer Weekly]

 マシンID(machine identity)専門企業のVenafiは、ランサムウェア攻撃による恐喝手段が二重化、三重化しているため、バックアップなどの伝統的な対策は無意味になる可能性があると主張する。

 「ランサムウェア攻撃は、セキュリティの基本的な防御策や次世代ウイルス対策とバックアップのような事業継続手法を上回る形で進化している」と話すのは、Venafiのケビン・ボセック氏(ビジネス開発および脅威インテリジェンス部門バイスプレジデント)だ。

バックアップが無意味な理由

会員登録(無料)が必要です
iStock.com/Andreus

 Venafiが実施した調査(対象:ITとセキュリティの意思決定者)によると、成功したランサムウェア攻撃の83%は別の手段の恐喝が関係している。例として、盗んだデータを使って顧客を恐喝する(38%)、データをダークウェブに流出させる(35%)、データが危険にさらされていることを顧客に通知する(32%)などがある。暗号化したデータを復号するキーと引き換えに金銭を要求する手口は17%だけだった。

 身代金を手に入れたかどうかにかかわらず、攻撃を続行するサイバー犯罪者が増えているとVenafiは指摘する。事実、身代金を払ったにもかかわらずデータが漏えいした被害者は18%。一方、身代金の支払いを拒否してデータが漏えいした被害者は16%だった。支払いを拒否したことで自社の顧客が恐喝された被害者は約8%、支払ったのにデータを取り戻せなかった被害者は35%に上る。

 標的が復旧システムやバックアップを実装していることをサイバー犯罪者は理解しており、勝利するにはこうした攻撃が最善だと認識している。

 「データを流出させるランサムウェア攻撃を防御する準備が整っていない企業が身代金を支払っている。これはサイバー犯罪者がさらに多くのものを探す動機になるだけだ。残念ながら、サイバー犯罪者は身代金を受け取っても恐喝行為を続ける」(ボセック氏)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 ゼットスケーラー株式会社

Microsoft Copilotを安全に利用するために押さえておくべきベストプラクティス

Microsoft Copilotが従業員の生産性と創造性を向上させる新たな選択肢となる一方、テナントデータへの無制限なアクセスなどデータ保護に対する懸念は大きい。安全な利用のために押さえておくべきベストプラクティスについて解説する。

製品資料 ゼットスケーラー株式会社

内部と外部からのデータ流出を防ぐ、AIを活用したデータ保護戦略とは?

昨今、サイバー犯罪による被害額が増大している。その最大の要因といわれているのがデータの流出だ。分散するデータを適切に保護するには、場所や状態を問わず効率的に保護するデータ保護基盤が必要になる。

製品資料 株式会社日立システムズ

サイバー攻撃の標的は中小企業へ、企業規模に見合ったセキュリティ対策とは

サイバー攻撃の標的は中小企業へとシフトしているが、当該企業では危機意識が薄く、セキュリティ投資をしていない企業は6割に及ぶ。そこで本資料では、中小企業にとって導入しやすい次世代セキュリティソリューションを紹介する。

製品資料 Absolute Software株式会社

現代セキュリティの要、「アクセス」を適切に制御できるゼロトラストの条件とは

社内外を問わずユーザーに安全なアクセスを提供する手段として、まず名前が挙がるのが「ゼロトラスト」だ。幅広い機能を有しているため見極めが難しいと思われがちだが、ITレビューサイトに寄せられた声から見極めのポイントが見えてきた。

市場調査・トレンド キヤノンマーケティングジャパン株式会社

有識者が語る、中堅中小企業に求められる最新のサイバーセキュリティ対策とは

中堅中小企業を狙うサイバー攻撃が増加する中、2025年に可決された能動的サイバー防御に関する法案により、サイバーセキュリティ対策の高度化が求められている。本資料では、有識者の対談を通じて、いま企業に必要な対策を紹介する。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか

なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか
メインフレームを支える人材の高齢化が進み、企業の基幹IT運用に大きなリスクが迫っている。一方で、メインフレームは再評価の時を迎えている。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...