NTTドコモは11月10日、10月14日に発生した大規模な通信障害について、対応状況を発表した。この通信障害は、新設したIoTサーバへの切り替え工事中での作業手順の認識齟齬(そご)により、IoT端末から大量の位置情報登録信号が発生。ドコモ回線にアクセスが集中し混雑するネットワークの輻輳(ふくそう)が起き、全国のドコモユーザーに影響を与えた。
障害を起こした責任として、井伊基之社長など幹部8人が役員報酬を自主返上する。総務省は是正に向けた行政指導を実施するなど、対応を検討するとしている。
今回ドコモは、通信機器が圏外となり、全ての通信が利用できなかった状況と、音声通話やデータ通信などが利用しづらい状況の2つに分けて概要を説明。大量の位置情報登録信号を制御するために、最大で100%の通信制限を実施したフェーズを前者、制限解除後の通信によって生じた通信の輻輳を後者に分けた。
パケット通信の速度低下や音声通話がつながりにくいなど、ドコモ回線が利用しづらい状況は14日午後4時54分から15日午後10時まで続き、影響規模は音声通話で約460万人、データ通信で830万人以上に影響を与えたという。
各数値には、通信が利用できなかったユーザー約100万人も含まれる。音声通話とデータ通信それぞれで影響人数を発表していることから「延べ1290万人」とはいえるものの、実際には音声とデータ両方の障害を受けた人もいれば、片方だけの影響を受けた人もいるため、「合わせて1290万人が影響を受けた」とまではいえない。
同社の引馬章裕サービス運営部長は「個人別の障害状況を把握することはできないため、これ以上の具体的な数値は算出できない。それぞれに重複があるため、単純に足せばいいわけではないため、このような表現にしている」と述べた。
通信しづらい状況が3G回線で特に長引いた理由について、引馬サービス運営部長は「4Gや5G回線も利用しづらい状況だったため、3G回線に通常より多く人がいた。4Gなどが回復した後は徐々に人が戻っていったため、それに時間を要した。4Gや5Gを優先して復旧していたわけではなく、ネットワーク全体の復旧に努めた結果、このような形になった」と説明した。
【修正履歴:2021年11月10日午後7時30分 タイトルと本文の表記を一部修正しました】
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