攻める総務

ハラスメント加害者を処分するも、被害者の虚言だった 懲戒解雇を下した企業はどうなる?弁護士・佐藤みのり「レッドカードなハラスメント」(1/2 ページ)

» 2021年10月26日 07時00分 公開
[佐藤みのりITmedia]

連載:弁護士・佐藤みのり「レッドカードなハラスメント」

ハラスメント問題やコンプライアンス問題に詳しい弁護士・佐藤みのり先生が、ハラスメントの違法性や企業が取るべき対応について解説します。ハラスメントを「したくない上司」「させたくない人事」必読の連載です。

 前回の記事でご紹介した通り、ハラスメントをした従業員に対し、会社が問題のある懲戒処分を行えば、後に裁判でその懲戒処分が無効にされることがあります。また、場合によっては会社が支払わなければならない金額が1000万円を超えるうえ、社会的信用も失う恐れもあります。

 「こうした事態は何としてでも避けたいけれど、会社だって、間違えてしまうことはある。精いっぱい調査して『このハラスメントには、この処分が適している』と判断したのに、それが不法行為に当たるなんて言われたらたまったものではない」と感じる人事担当者も多いでしょう。

 実際、ハラスメントの事案では、当事者の言い分が食い違い、ハラスメントがあったのかなかったのか、会社が判断に迷うケースも少なくありません。加害者に対し、懲戒処分を下すかどうか、どの懲戒処分が適しているかの判断の前提には、ハラスメントの有無や内容の確定作業があります。

 その前提で会社が誤ってしまったとしたら、どうなるのでしょうか。それでも会社は重い法的責任を負わなければならないのか、解説します。

実際の裁判例では? 弁護士が解説

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