写真業界は苦戦しているのに、「セルフ式の撮影」が好調の理由「実証実験」の結果(1/4 ページ)

» 2021年10月16日 08時30分 公開
[土肥義則ITmedia]

 「笑顔で〜、おっ、いいねえ! 次はこっちを向いてくれるかな。パシャ、パシャ、パシャ」――。 

 プロカメラマンによる撮影や現像などを手掛ける写真業界が苦しんでいる。東京商工リサーチの調査によると、2019年度(19年4月期〜20年3月期)の売上高は1820億5300万円で、前年度比4.5%も減少している。

写真業界の低迷が続く(出典:東京商工リサーチ)

 20年度に入っても、苦しみは続く。新型コロナの感染拡大によって、学校の行事や結婚式など中止が相次ぎ、1〜9月期の倒産は19件(前年同期比72.7%増)と急増していて、「過去5年間で最多ペースで推移している」(東京商工リサーチ)。業界天気図でいえば、「雨」(市場が縮小、短期的な業績回復が見込めず悪化傾向)といったところだろうか。

プロカメラマンによる撮影が苦戦している

 では、プリントシール機(プリクラ)はどうだろうか。ご想像の通り、こちらの天気は「雨(または曇り)」が20年ほど続いている。1995年にアトラス社が「プリント倶楽部」を発売し、あっという間に大ブームに。日本アミューズメント産業協会によると、プリントシール機の売上高は97年に1000億円を超えたものの、その後、市場はしぼんでいき、ここ数年は200億円ほどで推移している。

 プロカメラマンによる写真撮影やプリントシール機、いずれも未来の明るい姿を描くことが難しい中、「新たな鉱脈になるのではないか?」と注目されているサービスが登場した。自分でスイッチを持ってシャッターを切る「セルフ式の写真撮影」だ。

セルフ式の写真撮影がじわじわ増えている

 このサービスは数年前、韓国で産声をあげて、若者を中心に人気を集めている。プロカメラマンに撮影をお願いしても「思ったモノと違うなあ」とガッカリしたことがある人もいるはず。シャッターを切るタイミングが合わなかったり、想定していた構図と違っていたり。そんな不満を感じている人たちに、支持されるのではないか。このように考えた人もいたようで、セルフ式の写真撮影は昨年、日本に上陸。その後、じわじわ増えつつあるのだ。

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