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盛り上がる「テーブルトークRPG」に二次創作ガイドライン、KADOKAWAなど6社が策定

» 2021年10月12日 14時46分 公開
[松浦立樹ITmedia]

 KADOKAWAやアークライト、グループSNE、新紀元社、ファーイースト・アミューズメント・リサーチ、冒険支援の6社は10月11日、合同で「TRPGライツ事務局」を設立したと発表した。併せてTRPG(テーブルトーク・ロール・プレイング・ゲーム)の二次創作活動に関するガイドラインを策定。著作権法上のトラブルなどを防ぐとしている。

TRPGライツ事務局の発表内容

 TRPGはルールや設定を書いたルールブックに従い、プレイヤー同士が会話をしながら物語中のキャラクターを演じ、シナリオを進めていく遊びを指す。オフラインで遊ぶのはもちろん、昨今ではSNSやライブ配信などを使い、オンラインで参加するユーザーも増えている。

 先述の6社はTRPGのルールブックを出版している一方で、ユーザー層の広がりを受け、有志による二次創作のルールブックも活発化しているという。ユーザーから二次創作活動に関するガイドラインを策定してほしいとの要望が増えており、今回の策定に至ったと事務局では説明している。

カドカワストアで販売しているTRPG単行本の一部

 ガイドラインの基本原則は、「著作権法上のトラブルを未然に防止し、原著作者に正当な利益を還元するためにユーザーに提示し、お願いをするもの」とし、「ユーザーの自由な二次創作活動を制限する意図はない」という。ただし、原著作者と出版元/発売元の権利・利益を害する二次創作活動は許容しないとしており、許諾なしの二次掲載を禁止にする。

 その他、二次創作物でのシナリオのネタバレ解禁や禁止行為、権利表示、作品ロゴや図版の扱いなどをガイドラインに記載。二次創作物の頒布については、小規模出版向けの「スモールパブリッシャーリミテッドライセンス」(SPLL)によるライセンス申請制度を設置した。

 「製造数×頒布価格」が20万円以上になる紙媒体とグッズ類、1年間の購読料の合計が20万円以上に達したサブスクリプションサービスには、SPLLの申請が必要になる。ライセンス料は、いずれも1作品あたり1万6500円。

 SPLLの施行は2021年12月1日以降に製造開始した二次創作物が対象であり、施行日以前に製造されたものについては、さかのぼってSPLLの締結を求めることはない。しかし、その二次創作物を再製造する場合は、ガイドラインに準じ、申請を求めている。電子出版での頒布については、現在検討中という。

 TRPGライツ事務局のWebサイトには、二次創作管理製品名リストも記載しており、12日時点で90作品を登録。いずれもガイドラインの対応年月日は、21年12月1日からとなっている。

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