このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
米カリフォルニア大学バークレー校HiPeRLabの研究チームが開発した「Design and Control of a Midair Reconfigurable Quadcopter using Unactuated Hinges」は、飛行中にプロペラ付きアームの展開と折りたたみが可能なドローンシステムだ。通常飛行時は4本のアームを広げ、狭い空間を通過する時などは4本とも折りたたんで機体を小さくする。2本のアームを折りたたんで荷物をつかみ、そのまま飛行を続けることもできる。
今回のドローンシステムは、4本の剛体アームが蝶番でボディーに接続されており、90度の可動範囲で展開と折りたたみが行える。蝶番を除けば通常のドローンとほぼ同じなため、飛行の妨げや消費電力に大きな影響はない。
折りたたみ動作は、4本同時と対角の2本だけの2パターンがあり、4本同時と対角の2本だけを折りたたむことができる。展開状態の全長は43cmのところ、折りたたむと24cmまで小さくなる。
ただし、全てを折りたたんでしまうとプロペラも停止し推力が全く発生しないため落下する。地面に衝突する前に再度展開し、プロペラを動かせば飛行状態に戻る。実験では下向きの狭い場所を通り抜けるテストを行い、通り抜け時のみ折りたたみ、通過後に再度展開し、継続飛行に成功した。
他の実験では、ロープに落下し着地するテストも成功。まるで鳥のようにロープにしがみつき安定して止まり、そこから再度アームを広げ飛行するテストにも成功した。
対角の2本だけを折りたたむ方式は、折りたたんだ状態でも落下せずにホバリングや飛行を続けられる。残った2本のプロペラと、折りたたんだ状態で回転するプロペラによって安定した飛行が可能だ。折りたたんだ2本のアームは対角線より少し横にズラして設計しているため、その特徴的な配置により安定した飛行を実現しているという。
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