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Microsoft、リモートワークの影響を約6万人の従業員で調査した研究論文発表

» 2021年09月13日 10時58分 公開
[ITmedia]

 米Microsoftは9月9日(現地時間)、自社の米国の従業員6万1182人のリモートワークに関する研究論文を発表した。米Nature Human Behaviourに掲載されている。

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 Microsoftはコロナ禍で現在全社的なリモートワーク体制になっている。同日には、米国オフィスの再開期日を決めないと発表した。

 この研究によると、Microsoftの全社的なリモートワークへの移行は、社内のビジネスグループ間のコミュニケーション、コラボレーションに悪影響を及ぼし、従業員の生産性と長期的なイノベーションを脅かしているという。

 この調査は、2019年12月〜2020年6月に、米国の6万1182人の従業員のデータを匿名化して行った。データは従業員の仕事用メールアカウントとMicrosoft Teamsでのアクティビティ(Web会議、音声通話、チャット、ファイル共有など)。

 論文についての公式ブログでMicrosoftは、リモートワークへの移行で、正規のビジネスグループと非公式のコミュニティの相互接続性が低下し、グループのサイロ化が進んでいることが分かったとしている。ビジネスグループ間の接続のために費やす時間の割合が、パンデミック前より25%減少したという。

 リモートワークによって従業員のコミュニケーション方法が変化し、以前よりもメールやインスタントメッセージなどの非同期通信(リアルタイムではない通信)への依存度が高くなり、音声や動画の通話などの同期通信への依存度が低くなった。会議と通話の合計時間は、パンデミック前より5%減少した。

 これらの調査結果から、「企業は生産性とイノベーションに影響を与えないように、従業員が新しい情報を取得してグループ間で共有できるよう積極的な対策を講じる必要がある」とMicrosoftは提言する。

 「パンデミックが終わった後も、ハイブリッドワークは続く可能性が高い。ハイブリッドワークに関する企業のポリシーが従業員の相互協力の方法にどう影響するかを理解することは非常に重要だ」。

 Microsoftが同日発表したMicrosoft Teams関連の新機能は主に、ハイブリッドワークでのWeb会議を改善するものだったが、「Microsoft Viva」のモバイルアプリの公開など、従業員同士のつながりを強めるためのものもある。

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