「女性だからではなく実力で選べ!」が、日本企業の競争力を低下させているワケスピン経済の歩き方(1/6 ページ)

» 2021年09月21日 09時23分 公開
[窪田順生ITmedia]

 自民党総裁選に出馬した野田聖子氏が、「閣僚の半分が女性になるように目指す」と宣言したことが、ネットやSNSで以下のような批判を受けている。

 「性別ではなく実力で選べ!」「半分ありきで女性ばかりを優遇するのは逆差別だ!」

 ただ、世界的に見れば、これはそれほど叩かれるような話ではない。120を超える国で政府や政党がパリテ(男女同数)を目指すため、候補者や議席は一定数女性に振り分ける「クオータ制」を導入している。

 政治というパワーゲームの中で「実力」を優先すると、どうしても力の強い男たちが主導権を握ってしまう。そこであらかじめ女子枠を確保して男女同数を実現するという考えが、欧米のみならずアフリカ、南米、アジアでも広まっている。「男女を同数に」と口にしただけで叩かれる日本のような国のほうが少数派なのだ。

海外に比べて、日本の女性管理職比率は低い

 例えば、カナダやオーストラリアでは政党による自発的なクオータ制が行われており、オーストラリアでは19年に連邦上院で議員76人中の38人が女性となりパリテが実現している。メキシコでも2002年から法的候補者クオータ制が導入されたことで、女性議員比率が上がり14年には50%を達成、19年には、全公的部門にパリテを適用する憲法改正が行われている。00年より法的候補者クオータ制が導入された韓国でも、比例代表では50%以上クオータが義務化されており、奇数順位に女性を配置しなければならない。

 日本の国会議員の女性比率は10%未満。中国の国会にあたる全人代(全国人民代表大会2018年)でさえ女性比率は24.9%。つまり、日本は人権問題を抱える独裁国家も真っ青の“ゴリゴリの男社会”なのだ。こういう状況で「男女平等」を叫んでいるだけでは100年経っても変わらない。だから、まずは閣僚からパリテにしていく。国際社会の感覚としては、しごくまっとうな考え方だ。

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