リーマン以来の脅威? 中国恒大とは何者か古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/3 ページ)

» 2021年09月17日 07時00分 公開
[古田拓也ITmedia]

 菅義偉総理の総裁選不出馬観測や、新型コロナウィルスのワクチン摂取の進捗に伴う新規感染者数の減少によって株式市場は再びリスクオンの様相を呈し始めた。14日には日経平均株価がバブル崩壊後の最高値を1円更新して一時3万795円まで上昇するなど、早くも新政権の発足期待に向けた“ご祝儀ムード”が漂った。

 しかし、株価が好調になるとなぜか悪いニュースも飛び込んでくるものである。翌15日には、中国の大手不動産デベロッパー会社である中国恒大(エバーグランデ)の子会社が、1億4500万ドルに及ぶ金融商品の保証義務を履行できなかったとして、中国の投資家の間で不安が広がっていることが、複数のメディアを通じて報じられた。

 このニュースに日経平均株価も反応し、一時3万347.3円まで値を切り下げた。とりわけ、アリババグループの株式を多く保有するソフトバンクグループが一時5.8%も下落したことからも、いわゆる“チャイナリスク”が意識された様子がうかがえる。

 一部では「リーマンショックを上回る脅威」ともいわれている中国恒大集団だが、私たちにとってはあまり馴染(なじ)みのない会社だろう。同社は2021年7月の時点で20年の高値である20.4ドルから10ドルまで株価が暴落し、そこから8月に半額の5ドル、そして9月には2.81ドルと月を追うごとに株価がおよそ半分になっている状況であった。

 中国外の人々にとっては「寝耳に水」の事態かもしれないが、中国恒大が上場する香港市場では中国恒大の不穏な動きを以前から織り込んでいたようだ。香港市場の株価指数であるハンセン指数は3月から下落基調であり、足元では2万4951香港ドルと、年初来高値の3万1000香港ドルから20%も株価が下落している。

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