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Netflix、東京にアニメ制作の支援拠点 「人手不足で疲弊する制作会社を支援」

» 2021年09月10日 14時05分 公開
[荒岡瑛一郎ITmedia]

 Netflixは9月10日、アニメ制作の支援に特化した新拠点「アニメ・クリエイターズ・ベース」を同社東京オフィス内に正式オープンした。まずは人手不足が深刻なアニメ制作初期のコンセプトアート作りなどに注力する。同社初の試みで、日本に開設することでアニメ制作の支援拡充を進める狙いがある。

photo アニメ・クリエイターズ・ベースを紹介する公式バーチャルYouTuber「N子・メイ・黒野」

 アニメ・クリエイターズ・ベースの機能は、コンセプトアートなどを描く「デザイナーズ・ガレージ」、脚本の打ち合わせをする「ライターズ・ガレージ」、VRやモーションキャプチャーなどを試す「ラボ」――の3つ。デザイナーやクリエイターが初期アイデアを練る場や、最新技術など積極的に導入する実験場としての運営を目指す。

photophoto デザイナーズ・ガレージ(左)、ライターズ・ガレージ(右)

 当面はコンセプトアート制作を進め、絵コンテや脚本作りなどの前段階を強化する。Netflixの櫻井大樹氏(アニメチーフプロデューサー)によると、日本のアニメ制作会社は深刻な人手不足で、企画・制作初期段階を省略する傾向にあるが、同社は重要な工程と捉えているという。「制作関係者の間での作品イメージ共有や、作品の世界観を広げる上で大切。Netflixが(その工程を)提供することで作品作りに役立ててほしい」

 同施設はパートナーシップを結ぶ制作会社の関係者や外部のクリエイター、監督、原作者などの活用を想定。気軽に足を運んで作品のアイデアを広げたり、企画が決まる前のイメージを絵にする取り組みなどを予定する。

photophoto アニメ・クリエイターズ・ベースに参加するデザイナーが描いたコンセプトアート

 こうしたアニメ制作支援の機能を持つ拠点は同社初。日本に開設した理由は、日本には多くのアニメ制作会社が集まる中、時間・人手不足で疲弊している制作会社が多数あるとして、理想的な作品制作をクリエイターと一緒に進めることだという。

 Netflixが配信するアニメ作品は、年間1億2000万世帯で視聴され、100の国と地域でトップ10入りしている。櫻井氏は世界的に日本のアニメが人気の理由を「動画配信サービスが普及してアニメを見やすい環境が整った。加えて絵だから(作品内に映る要素が)国家や人種など関係なくて受け入れやすい」と分析。今後も日本産アニメに積極的な投資をしていく姿勢を見せた。

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