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最強営業の極意「営業はお客様の教師になる」とはどういうことか 2/2

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昨日のブログでは、なぜ営業がお客様の教師にならなきゃいけないかについて述べた。今日は、その具体的な方法について、考える。

お客様からの「こうして欲しい」を"want"といい、「あるべき姿」を達成することが、お客様の"need"である。"need"を起点に、それを実現する最善の手段を考えれば、それは必ずしも、お客様にの提示した"want"であるとはかぎらない。つまり、一番良い手段は、「DXの講演」ではなく、「デジタルの基本の""」の方がいいはずだとなる。

提案活動は次の3ステップが基本だ。

  • お客様の"want"を聞く
  • お客様が"want"の背後にある"need"を見つける
  • "need"を実現するために最善の手段を考え提案する

このステップを踏むことで、お客様もまた、自分が何を求めているかを明確に自覚できるだろう。

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教師とは、新しい知識を提供することだけが仕事ではない。相手が既に持っている内面にある答えに気付かせ、その実践を後押しすることも教師の大切な役割である。

求められた知識を提供するだけなら、製品やサービスについての説明、新しい技術やその価値についての説明などは、営業に頼らなくてもネットで調べることができる。詳しく聞きたければ、営業に聞くよりもエンジニアに訊いた方が話は早い。

もちろん、知識を提供するのも営業の役割ではあるが、ネットに書かれてていることやエンジニアと同じ話しかできないとすれば、営業の存在価値はない。お客様の事業や経営にどのように貢献するのか、あるいは、いまなぜ、こういう技術やサービスを必要とするのかを、社会やビジネスのトレンドと関連付けて、その価値を伝えることができなくてはならないだろう。機能や性能、仕様を伝えることは、製品の担当者やエンジニアに任せた方が、よほど正確である。

「顧客は自分にとって何が必要か知らないのだから、顧客に答えを聞こうとしてはいけない。」

フィリップ・コトラーの言葉だ。例えば、いま多くのお客様は、デジタル化やDXに並々ならぬ関心を持っているし、何とかしなければと思っている。しかし何をすればいいのかが分からない。そんなお客様に「何をすればいいのかをお聞かせ頂ければ、最適なソリューションを提供します」と聞いたところで、困惑させてしまうだけだ。いや、「何をすればいいか分からないから相談しているのだ」と憤りさえ感じてしまうかも知れない。ならば、何をすべきかを営業が教えてあげればいい。

そのためには、まずは、お客様の「あるべき姿」をあきらかにし、それを実現するには「何をすべきか」を考え、提案することだ。そのためには、DXとは何か、それを支えるテクノロジーやそのトレンドを知っておかなくてはならない。

答えを持っていない相手に、答えを教えてあげるのは教師の大切な役割だろう。いや、まさにいまその能力が求められている。

気付きを与え、実践のための決意を促す。何をすればいいのかが分からないのなら、それを教える。それが教師の役割である。営業はその対価として、お金を頂く。

きれいごとだと思われる人もいるだろう。そんなことをしていたら背負っている数字が達成できないと思われるかもしれない。しかし、私自身の経験から、これだけははっきりと申し上げることができる。

お客様に相談しなくても、お客様から相談されるので、数字に困ることはない

一発勝負の案件を獲るためにあくせくするのではなく、教師としてお客様に信頼され、相談される存在になることだ。あの人に相談すればいいと最初に思い浮かべてもらえる「あの人」になることだ。そうなれば、売り込みなど必要ない。競合など気にすることはない。案件のきっかけはむこうから舞い込んでくる。そういうお客様を増やしてゆくことだ。

DXは、企業の文化や風土を変革することだ。デジタルを前提に、仕事のやり方を再定義することでもある。営業はそんなお客様に寄り添うことである。必要な知識や常識は変わるが、やるべきことは今も昔も変わらない。

お客様の教師になる

それが、これまでも、これからも最強の営業であろう。

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【募集開始】次期・ITソリューション塾・第38期(106日〜)

次期・ITソリューション塾・第38期(106日 開講)の募集を始めました

ITソリューション塾は、ITのトレンドを体系的に分かりやすくお伝えすることに留まらず、そんなITに関わるカルチャーが、いまどのように変わろうとしているのか、そして、ビジネスとの関係が、どう変わるのか、それにどう向きあえばいいのかを、考えるきっかけになるはずです。

また、何よりも大切だと考えているのでは、「本質」です。なぜ、このような変化が起きているのか、なぜ、このような取り組みが必要かの理由についても深く掘り下げます。それが理解できれば、実践は、自律的に進むでしょう。

  • IT企業にお勤めの皆さん
  • ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
  • デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん

そんな皆さんには、きっとお役に立つはずです。

特別講師の皆さん:

実務・実践のノウハウを活き活きとお伝えするために、現場の最前線で活躍する方に、講師をお願いしています。

戸田孝一郎氏/お客様のDXの実践の支援やSI事業者のDX実践のプロフェッショナルを育成する戦略スタッフサービスの代表

吉田雄哉氏/日本マイクロソフトで、お客様のDXの実践を支援するテクノロジーセンター長

河野省二氏/日本マイクロソフトで、セキュリティの次世代化をリードするCSO(チーフ・セキュリティ・オフィサー)

最終日の特別補講の講師についても、これからのITあるいはDXの実践者に、お話し頂く予定です。

詳しくはこちらをご覧下さい

  • 日程 :初回2021106()~最終回1215() 毎週18:3020:30
  • 回数 :全10回+特別補講
  • 定員 :120
  • 会場 :オンライン(ライブと録画)
  • 料金 :¥90,000- (税込み¥99,000) 全期間の参加費と資料・教材を含む

詳細なスケジュールは、こちらに掲載しております。

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー

【9月度のコンテンツを更新しました】
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研修パッケージ
・【新規】IT営業向け講演資料・正解のない時代に営業は何をすべきか
・【改訂】総集編 2021年9月版
・【改訂】DX基礎編 デジタルトランスフォーメーションの本質とビジネス戦略
・【改訂】SI事業者のための最新のITトレンドとビジネス戦略 1日研修パッケージ
・【改訂】新入社員のための最新ITトレンド1日研修・2021年版・パッケージ
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ビジネス戦略編・DX
【改訂】デジタル化とは何かp.6
【新規】デジタル化とはレイヤ構造化と抽象化 p.12
【改訂】デジタル化がもたらすレイヤ構造化と抽象化/デジタル化p.13
【新規】VUCAの時代の課題解決に対するアプローチ p. 27
【新規】DXとはVUCAの時代に対応するための変革 p. 48
【新規】DXの定義 p.49
【新規】DXの定義 p.50
【新規】DXの目的 p.51
【改訂】DXの公式 p.115
ビジネス戦略編・その他
【新規】優秀なエンジニアのマインドセット p.143
【新規】優秀なエンジニアになるための自律的サイクル p.144
サービス&アプリケーション・先進技術編/AIとデータ
【新規】特化型人工知能(AI)と汎用型人工知能(AGI) p.15
【新規】教師あり学習と教師なし学習 p.126
【新規】強化学習 p.127
ITインフラとプラットフォーム編
【新規】ゼロトラスト・ネットワークによるセキュリティ p.116
開発と運用 編
【新規】作らない技術を前提としたシステム p.9
【新規】ITの変化とビジネス対応 p.10
【新規】「作る技術」から「作らない技術」へ p.11
【新規】「作らない技術」のスタック p.12
下記につきましては、変更はありません。
 ITの歴史と最新のトレンド編
 サービス&アプリケーション・基本編
 サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
 クラウド・コンピューティング編
 テクノロジー・トピックス編

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