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コロナワクチンの予診票をブラウザから出力できるWebアプリ、学生が開発 「手書きは面倒に感じた」

» 2021年09月03日 17時37分 公開
[樋口隆充ITmedia]

 新型コロナワクチンの1回目接種数が9月1日時点で50%を超えるなど、接種が全国で進む中、個人情報や健康状態を記入する予診票をブラウザから出力できる入力フォームを現役大学生が開発し、Webアプリとして公開した。

photo 尾川史典さんが開発した入力フォーム

 開発したのは、中央大学1年生の尾川史典さん(経済学部経済情報システム学科、Twitterアカウントは@mizphses)。小学校3年生からプログラミングを独学で学び始め、現在はWebフロントエンド開発やデザインを趣味でやっているという。学業の傍ら、週に1回、多摩市立の小学校で小学生にタブレット端末の使い方などを教えるICT支援員としても勤務しているという。

photo 取材に応じる尾川さん

 開発のきっかけは、自身が感じた不便さからだ。接種時は事前に手書きで記入した予診票を会場に持参する必要がある。ICT支援員をしていた関係で、教職員向けの職域接種を受けた際、尾川さんは予診票のPDFファイルを編集し、PC上で記入したものを印刷して持参した。出力した予診票は問題なく使用できたものの「毎回同じことをするのは面倒」と感じたという。

 こうしたことから、尾川さんは入力フォームの開発を決意。予診票のPDFファイルに文字を入力するソースコードを別のユーザーが公開していたため、それをベースに入力データをJSON形式に変換するプログラムや、入力データをブラウザ上でPDF化し、ダウンロードできるプログラムを新たに作成した。開発にはPythonを使い、約7時間程度で開発した。動作テスト時には、予診票の2択の選択肢が、入力フォーム上では3つ以上出てきてしまったこともあり「思った以上に修正に時間がかかった」と振り返る。

 現時点で、個人情報に関するプライバシーポリシーはないものの「システム内にデータが残るような設計にはなっていない。仮にログが残っていても、自分には見えないようにして、すぐに削除する」と尾川さん。「急に開発したので至らないことはあると思うが、気軽に使ってほしい」とした。

photo 出力結果(出典:尾川さんのTwitterアカウント)

 英語版への対応や、入力データをQRコード化する新機能も追加した。ただ、対応するのは米PfizerとModerna用のみ。英AstraZeneca用の予診票は様式が異なるため、利用できないという。尾川さんは「バグを見つけたらぜひ報告してほしい」とする一方、Webアプリの公開にも費用が掛かることから、活動資金の寄付も受け付けている。

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