日本の若者が留学せずに「内向きになっている」のは本当か世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)

» 2021年08月05日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

 新型コロナによって国家間の往来が遮断されたことで、国際ビジネスなどでは大きなダメージが出ている。ビジネスに限らず、各方面でコロナ禍の余波を受けている人たちがいるが、例えば、日本人留学生たちの状況も悲惨だ。

 昨年、カナダに留学していた知人の家族は、留学中なのに学校に通えず、ホームステイ先で何カ月も過ごす状況だったという。他の国でも多くの留学生が、学校にも通えずリモート授業を受けなければいけない状況に置かれていた。

 しかし世界的に新型コロナが落ち着きを見せ始めていることで、各国は、日本人を含む外国人留学生の受け入れを再開しつつある。

日本人留学生は減っているのか

 近年、これまで以上に世の中がグローバル化するのに伴って、世界各地で留学生が増加傾向にある。例えば、米国、中国、インド、韓国などで増えている。中でも米国では、新型コロナの前には、海外へ留学する学生が増えていて、2016年から17年には2.3%増だった。

 これに対して、近年、日本人留学生が減少しているというニュースをよく見かけるようになった。その理由として、「若い日本人が内向きになっているから」などと指摘している記事が多い。

 本当にそうだろうか。文部科学省は21年4月にこんな発表をしている。「短期留学・語学留学、海外インターンシップなど単位取得を伴わない留学も含めた高校生、大学生の留学数は年々増加していましたが、2019年度は減少に転じました」。

 新型コロナの感染拡大を受けて、留学生が減ったことを述べているのだが、注目すべきはそこではない。「単位取得を伴わない留学も含めた高校生、大学生の留学数は年々増加」という部分だ。つまり、日本の留学生は増えてきたのである。「内向き」にはなっておらず、多くが「外向き」になっている。

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