マーケティング・シンカ論

天気にあわせて広告を表示 Cookie廃止で「位置情報×天気×広告」は盛り上がるか?暑い日に飲料の広告、雨の日は集客用クーポン

» 2021年08月04日 07時00分 公開
[小林可奈ITmedia]

 サードパーティーCookieの廃止に向け、広告業界が対応を模索する中、「天気に合わせた広告」を提供する動きが出てきている。天気に左右されやすい購買行動として、スーパーや飲料品の売り上げなどがある。こうしたニーズを取り込めるか。

photo 晴れの日は冷たい飲み物、雨の日はスーパーの広告をよく見るようになる?(画像はイメージです。提供:ゲッティイメージズ)

ユーザーの位置×天気にあわせて広告を出し分ける

 ウェザーニューズ社は2020年7月から、アプリ内で天気連動広告を提供している。1km単位で把握したユーザーの位置情報と気象情報をもとに、広告を表示する。

 同社広報部によると、気温が高い日にだけ広告を出したい飲料メーカーや、売り上げが増える晴れの日に集客したいクリーニング店から需要があるという。雨の日に来客が減る傾向にあるスーパーが、雨の日クーポンを出す事例もある。

photo ウェザーニュースの天気連動広告の仕組み(リリースより)

 21年7月からは、動画広告も開始した。開始から半月ほどで、既に新規の問い合わせが複数件あった。

 同社では、天気予報の番組を生放送している。放送内容に合わせた動画広告を出稿することで、広告もユーザー自身にとって役に立つコンテンツの一部のように受けとめてもらえるというメリットを認識していたことから、アプリ内の動画広告にも乗り出した。具体的には、天候によって頭痛などが生じる「天気痛」の予報に合わせた痛み止め薬の広告出稿などで、通常より高い広告効果が得られたという。

GoogleやSNSの広告を、天気に合わせて配信するシステムも

 「天気×広告」の流れは、ウェザーニューズのように気象関連事業を運営する企業の自社アプリやサイト内にとどまらない。

 Googleの検索画面やFacebook、InstagramといったSNSに、天気に応じた広告を出稿する──21年7月下旬、そんなサービスの申し込み受付が始まった。デジタルマーケティングに携わるルグラン(東京都港区)が手掛ける「weathermarketing.net」だ。1時間ごとに更新される、日本全国の1km四方の気象データに合わせて配信条件を設定できる。

 同社は「今後、消費者の好みやTPOに合わせて広告を配信するためには、気象データの活用が重要」との考えから開発に至ったとしている。

photo weathermarketing.netの設定画面(リリースより)

 近年、プライバシー保護の観点からサードパーティーCookieの広告への活用を規制したり、自ら避けたりする動きが進んでいる。そんな中、サードパーティデータに頼らずに効果の高い広告を出す手法を模索している企業も多い。個人の消費に結びつく要素の一つである天気や位置情報のデータ活用に期待がかかる。

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