「日産は確実に輝きを取り戻しつつある」と内田CEO 通期予想、3年ぶりに最終黒字へ上方修正

» 2021年07月28日 19時21分 公開
[ITmedia]

 日産自動車は7月28日、2022年3月期(21年4月〜22年3月)通期の連結業績予想を上方修正し、最終利益が600億円(前期は4487億円の赤字)になる見通しだと発表した。前回予想の600億円の赤字から一転、3年ぶりの黒字を見込む。第1四半期(21年4〜6月)に米国などで新車販売が好調だったことや、為替の円安を考慮した。

photo 日産の内田誠CEO=決算発表会のライブ動画より

 売上高は9兆7500億円(前期比24.0%増)、営業利益は1500億円(前期は1507億円の赤字)に上方修正した。販売台数目標は、前回見通しと変わらず、グローバルで440万台のまま据え置いた。

 同日発表した22年3月期第1四半期の連結決算は、売上高が前年同期比71%増の2兆82億円、営業利益が756億円(前年同期は1539億円の赤字)だった。純利益は1145億円(同2855億円の赤字)。

 売上増の要因の一つは、販売の質の向上だという。アシュワニ・グプタCOOは「戦略の中心となるのは、大胆なデザインと魅力ある技術を搭載した新車の投入だ」と説明する。例えば、米国で投入した「ローグ」は、第1四半期でシェアが拡大し、販売価格は前年同期比で22%増、1台当たりの売上高も28%向上。国内では「ノート」の1台当たりの売上高が31%改善した。

 こうした結果、グローバル全体で1台当たり売上高は、19年度と比較して16%向上した。「むやみに販売数増を追うのではなく、1台当たりの利益と価値を優先する取り組みが功を奏した」(同氏)としている。

photo 1台当たり売上高は、19年度と比較して16%向上=決算説明資料より

 このほか、18年度に対し、固定費を3500億円削減し、損益分岐点となる販売台数を当初の500万台から440万台まで引き下げた。また、コロナ禍でも18カ月の間に11モデルを発表するなど、将来への投資にも力を入れる。

「日産は確実に輝きを取り戻しつつある」

 同社の内田誠CEOによると、今年度の営業利益率の見通しは1.5%で、中国合弁会社比例連結ベースだと2%以上に相当する。事業構造改革「Nissan NEXT」で設定していた目標を達成する見込みだ。5月の決算発表では「利益率2%は難しい」としていたが、状況が好転した。「今年度の目標を必ず達成し、最終ゴールである23年度営業利益率5%の達成に向け、全社一丸となって改革を進める」と意気込む。

 同氏は「日産は確実にその輝きを取り戻しつつある。そうした今、われわれがやるべきことは、未来の明確なビジョンを示し、日産を社会に貢献し、持続的な成長を続けることができる企業へと確実に変えていくことだ」とも強調する。

photo ビジョンの大きな柱の1つは電動化=決算説明資料より

 ビジョンの大きな柱の1つは、電動化だ。同氏は「電動化が進むスピード、顧客のニーズは市場によって異なり、柔軟な商品戦略が求められている。日産はEVとe-POWERの2つの技術で対応する」と説明する。

 前者では、新型クロスオーバーEV「アリア」に続き、三菱自動車と共同で企画・開発している軽のEVを22年度初頭に日本国内に投入する計画だ。後者については、今年度から中国、欧州へ導入し、「日本での成功をグローバルへと広げる」という。

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