さて、前回は「EVの行く手に待ち受ける試練(前編)」をお届けしたのだけれど、バッテリー関係の最新ニュースが立て続けに入ってきていて、ちょっと分析が間に合わない。それはナトリウム電池であるとか、バイポーラ型ニッケル水素など、一度「終わった」扱いを受けていた形式のバッテリーが新技術で再注目を集め始めているからだ。
一方コメント欄にも、たまにはクルマに乗った話も書いてほしいという要望もあることだし、続編へと入る前に、ちょっと箸休め的にスポーツカーの話を挟んでみたいと思う。
ご存じの通り、トヨタとスバルは、協業開発したFRスポーツカーとして、2012年からトヨタ86とスバルBRZを販売してきた。この2台のスポーツカーがこの度フルモデルチェンジを果たし、袖ケ浦フォレストレースウェイで、プロトタイプの試乗会が開催されたのだ。
(トヨタ/スバル提供)
そこでGR86/BRZのインプレッションレポートと併せて、何がどう変わり、それがスポーツカービジネスをどのように変えていくかについて、まとめてみたい。
最初に書かなければいけないのは、初代86/BRZの微妙な性能である。このサイズのFRスポーツは今や世界中でも極めて限られている。そのため商品企画としては大いに歓迎したいのだが、スポーツカーとして見た時、それはかなり微妙な存在だった。
ここから先、旧型のオーナーはあまり読んでうれしい話にはならないと思うので、読むのをお勧めしない。愛車にダメ出しされる気持ちは分かるので申し訳ないとは思うが、オーナーに忖度(そんたく)して「それはそれで良かった」と書くわけにはいかないので、忌憚(きたん)なく書かせていただく。
- リニアリティって何だ?
おそらく2020年は日本の自動車のビンテージイヤーになると思う。20年のクルマたちは、もっと総合的な能力で世界トップといえる実力を持っている。その総合力とは何かといわれると、それはおそらくリニアリティの圧倒的な向上だ。
- スープラはBMW Z4なのか?
スープラ/Z4共同開発企画の原点は、トヨタにあった。そして、特徴的なディメンジョンを決め、開発にGOサインが出てからは、スープラとZ4はそれぞれ独自に開発を進めた。共通基盤を開発してからは、それぞれの理想とするクーペとオープンカーを作るために完全に交流を絶って、それぞれが理想とするクルマを作った。スープラのチーフエンジニアが語る、開発インサイドストーリー。
- ヤリスGR-FOURとスポーツドライビングの未来(前編)
トヨタでは、このGRヤリスを「WRCを勝ち抜くためのホモロゲーションモデル」と位置づける。AWSシステム「GR-FOUR」を搭載したこのクルマは、ハードウェアとしてどんなクルマなのか。そして、乗るとどれだけ凄いのだろうか。
- スープラ ミドルスポーツの矛盾構造
「ピュアスポーツを作りたかった」という想いのもと、幾多の犠牲を払ってホイールベース/トレッド比を縮めたスープラ。しかし自動車を巡る規制の強化は続いており、どんなに最新技術を凝らしても、過去のピュアスポーツカーと比べれば、大きいし重いし、ボンネットが高い。それでも、10年、20年の時を経て振り返ったら「あれが最後のスポーツカーだった」といわれるかもしれない。
- トヨタの“オカルト”チューニング
ビッグマイナーチェンジした86の試乗会でトヨタの広報がこう言うのだ。「アルミテープをボディに貼るだけで空力が改善します」。絶句した。どう聞いてもオカルトである。実際に試したところ……。
- 日産にZ旗を掲げた覚悟はあるか?
フェアレディZの復活で、自動車クラスターは大盛り上がり、それは喜ばしいことである。写真を見て、筆者もとても好意的に捉えたし、タイミングさえ間違えなければこれは売れるだろう。日産関連としては久方ぶりの朗報なのだが、ホッとしてはいられない。肝心の母体の調子がよろしくないのだ。
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