いろいろあった東京オリンピックがついに開催される。本当にゴタゴタ続きだったという印象だが、ざっと振り返るとこうだ。
新国立競技場の設計問題で建築家が変わり、五輪エンブレムがパクリではないかと批判が起き、誘致の賄賂疑惑でフランス当局が動き、マラソン会場がIOC(国際オリンピック委員会)の意向で北海道に突如変更になり、新型コロナがまん延して大会が1年延期になり、そしてミュージシャンの小山田圭吾氏が過去のいじめ問題で開会式作曲担当を辞任した。
東京オリンピックは開会式も始まっていないのに、ここまでのトラブルを見ていると、まだ何か起きるのではないかと心配になる。
特に筆者が懸念しているのは、サイバー攻撃である。
実は、2021年に入ってからオリンピック開催が近づいてきたことで、海外のサイバーセキュリティ専門家に五輪にからんだ攻撃について取材してみた。すると、関係者らは「当然狙われているし、その兆候も検知している」と口をそろえている。
東京オリンピックで、どんなサイバー攻撃が起きるのだろうか。
筆者が最初に「東京オリンピックが狙われている」と聞いたのは18年のことだった。当時から、ダーク(闇)ウェブの奥深いところで、東京オリンピックを狙ったサイバー攻撃の準備が始まっていたようだ。
「あなたの個人情報と銀行の預金口座を提供することにより、600ドルの賞を獲得する機会があります」。そんな文言が書かれたメールが、日本国内外に暮らす日本人に向けてばらまかれていることが発見されている。しかもこのメールに書かれていた、マルウェア(ウイルスなど不正なプログラムの総称)の仕込まれたリンクを、9000人以上がクリックして、見事にPCを乗っ取られていたことも判明している。
その後も同様のメールはいくつも出されており、何万人もがマルウェアに感染したことが分かっている。攻撃者は情報を盗み、そこを踏み台にして、次のターゲットに向けて準備していたという。
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