三菱電機だけでなく、東芝も! 非常識すぎる不祥事の裏に見える「旧財閥」的組織風土の闇トップの交代で済む話ではない(1/4 ページ)

» 2021年07月27日 05時00分 公開
[大関暁夫ITmedia]

 1年以上にわたるコロナ禍での経営で、多くの経営者が生き残りを賭けた努力を続ける中、2つの日本を代表する大企業の不祥事が世間をにぎわせました。一つは東芝、もう一つは三菱電機です。この2社には「昭和日本の大企業」という共通項があるわけですが、コロナ禍で経営にもニューノーマルなかじ取りが求められる令和の時代に、両社の不祥事にはあまりに非常識で時代錯誤な違和感を覚えた次第です。

 東芝の一件は、株主総会におけるアクティビストからの退陣要求提案に対する車谷社長(当時)の保身に端を発しています。組織として監督官庁の力を借りた提案取り下げ圧力の行使や、第三者株主に対する議決権非行使要請などを行っていたという、監督官庁である経済産業省ともども、ガバナンス上、大変由々しき問題でした。同社は2015年に同じくトップの保身に端を発し、会社ぐるみで行っていた不正会計問題が明るみに出て、そのガバナンス不全が大いに問題視されたという過去がありながらの本件です。トップの辞任にまで及んだあの不祥事での反省は、何も生かされていなかったのかとの念を強くさせられるところです。

 一方の三菱電機は、鉄道用空調装置およびブレーキ用空気圧縮装置などの製品検査において、納品先が指定した検査を行わず、自社仕様の検査のみを実施し、指定検査を行ったかのように偽装し納品していたという品質管理不正です。本件最大の問題は、この不正が1980年代から35年以上にわたって続けられてきたことにあるでしょう。加えて、同社ではここ数年、半導体デバイス部門での製品検査不正や、ビルシステム部門での仕様不適合ゴム製品出荷など、他部門で不祥事が相次いでいました。それでもなお不正が続いていた事実は、組織の自浄作用が全く働いていない、というお粗末すぎる企業統治の実態が明らかにしました。

長年不正を続けていた三菱電機(画像はイメージ、出所:ゲッティイメージズ)

 東芝のケースも三菱電機のケースも、一般的観点でおよそ非常識と思われる過ちを堂々と繰り返しているという点で、根源に同じ匂いを感じます。三菱電機はその名からも分かるように、旧三菱財閥の流れをくむ三菱グループの企業です。

 そして実は、東芝も、旧財閥に関係があります。知る人ぞ知る二木(にもく)会という旧三井財閥系親睦団体のメンバーです。

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