トヨタグループの「アイシン」が美容商品を手掛けた理由 都内有名サロン6店舗とコラボ待ち時間を「価値ある時間」へ(1/2 ページ)

» 2022年01月17日 11時45分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

 大手自動車部品メーカーのアイシンが、美容業界に身を乗り出そうとしている。同社は空気中の水分子を目に見えないほど小さな水粒子に変換し、髪の内部と地肌に届ける装置「Hydraid(ハイドレイド)」を開発した。都内有名サロン6店舗と協働し、実証実験を兼ねた施術体験機会を3月から用意する。

「Hydraid」のキャンペーンモデルを務める女優の忽那汐里さん(撮影:苅部太郎)

 この施術体験機会は「Hydraid Hair Show〜水の力で、もっと自分らしく。〜」と名付けられ、都内の大手サロンであるPEEK-A-BOO銀座中央通り店、Hair Brisa(表参道)、MINX青山店、Laf from GARDEN(銀座)、Lien(表参道)、LECO(渋谷)の6店舗で実施される。現在マクアケのプロジェクトとして募集中だ。

都内の大手サロンの経営者

 「Hydraid」は、見た目は美容室でよく見られる、パーマやカラーリングをする時などに使用する遠赤外線照射器に形が似ている。装置に頭を当てて使用する点も同じである一方、装置からは目に見えない微粒子レベルの温かい水蒸気が出ている点で異なる。

「Hydraid」

 この目に見えない大きさの水粒子を髪に照射することにより、髪の湿度を長時間一定に保つことができるのが「Hydraid」の特徴だ。このため、パーマやカラーリングを定着させる際にラップを髪に巻く必要がなく、髪へのダメージも軽減できるという。独自の微細水粒子を髪と地肌に浸透させることで、「素髪」と呼ばれる生まれたての髪の状態を引き出せるのを強みとしている。

 美容施術面で可能性が広がるだけでなく、これまでサロンで大量に廃棄されてきたラップの使用量も大幅に減らせるという。一方で「Hydraid」本体に水を補給する必要がなく、空気中の水分を取り入れるだけで機能する。こうした特徴から、「Hydraid」は地球環境にも優しい製品であることをうたう。

 都内で開かれた発表会ではサロン6店舗の経営者と「Hydraid」のキャンペーンモデルを務める女優の忽那汐里さんが登壇した。忽那さんは、実際に施術体験をした経験から、筆者の取材にこう明かした。

「Hydraid」のキャンペーンモデルを務める女優の忽那汐里さん

 「10分間『Hydraid』の前に座っているだけで髪に効果があることに驚きました。2年間ブリーチを入れていたのですが、その過程で髪の毛にいかにダメージを受けていたのかが、『素髪』に戻れたことで実感できました。忙しい中でも短い時間で当たるだけで効果を実現できるのは大きいですね」

 記者も実際の体験を申し込んだものの、契約上の問題と、時間が取れないとの理由でかなわなかった。だが忽那さんによれば、短時間で効果が出ていたようだ。サロン経営者からの評判も上々だ。MINX取締役の歳嶋建国さんは話す。

 「これまでパーマやカラーリングの薬剤を浸透させる時間はどうしても待ち時間になっていて、お客さまにとっても『早く終わらないか』と感じる退屈な時間でした。サロンを経営する目線で見ても、もっと有効活用したい時間でもありました。そこに『Hydraid』を導入することで、お客さまにとっても価値ある時間に変貌し、サロンにとってもより付加価値のある施術が実施できる。双方にとって価値を高められた存在意義は大きいですね」

MINX取締役の歳嶋建国さん
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