丸井グループは2021年3月に吉祥寺駅徒歩2分、丸井吉祥寺店直結、井の頭公園徒歩2分の好立地にZ世代向けのシェアハウス「MARUI TOCLUS(マルイ トクラス)吉祥寺」(以下、マルイ トクラス)をオープンした。家賃は光熱費込みで7万5000〜9万円。
なぜZ世代をターゲットにするのだろうか? コロナ禍で落ち込む百貨店事業を回復させるためか? 既存事業とのシナジーを見込む丸井グループの”狙い”を聞いた。
マルイ トクラスは、4階建ての全43室だ。21年12月の取材時は38人が入居しており、男女比は4.5:5.5で男性が少なめ。個室は4.5畳ほどで狭い造りとはなっているものの、共用スペースは充実していた。キッチンには、自由に使えるバルミューダ家電が並ぶ。キッチン併設のラウンジでは入居者と交流できるだけでなく、ワークスペースとして使うことも可能だ。ラウンジとつながっているテラスからは、井の頭公園や吉祥寺の街を一望できる。
2階にはシャワールームとトイレが併設されたワークスペースがある。大型ソファが置かれており、個室が狭くてもさまざまな場所で仕事ができるよう工夫が施されていた。そのほか、4階のラウンジと丸井吉祥寺店は入居者専用通路でつながっているため、雨が降っている日やちょっと買い物に行きたい時に便利な設計となっている。
21年5月にマルイ トクラスに入居した社会人2年目の女性は「吉祥寺で一人暮らしをすると家賃だけで10万円くらいかかってしまう。家賃を安く抑えつつ、入居者と日々コミュニケーションを取れるのが魅力」と話す。個室については「確かに狭いなと思うが、その分モノを減らそうと思えたり、仕事はラウンジなどを使ったりするのでそこまで不便ではない」という。
マルイ トクラスはZ世代をターゲットとしていて、現在の入居者は6割強がZ世代でおおむね想定通りだという。
さて、ここで一つの疑問が浮かぶ。超高齢化社会の日本では、お金を持っているシニア層をターゲットに老人ホームなどを運営したほうが、事業成長が見込める気がする。なぜ相対的に可処分所得の低いZ世代を狙うのだろうか? その背景には、丸井グループとして、シナジーを期待している既存事業があるという。
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