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4万円の自作キーボード1000台が1分で即完売 世界的に注目浴びる日本の開発者ハロー、自作キーボードワールド 第11回(1/5 ページ)

» 2021年12月30日 09時00分 公開
[びあっこITmedia]

 いろいろなパーツを組み合わせて自分好みの1台を作る「自作キーボード」について紹介する本連載。今回からは自作キーボードの設計・販売者へのインタビューや最先端トレンドを紹介するコラムなど、より一層ディープな自作キーボードの世界への誘いをお届けしていく。

 今回紹介するのは、日本発のキーボード設計者であり、今やキーボードの予約ページを立ち上げるたびに世界中から数千台の予約が殺到する、売れっ子デザイナーai03さんだ。

びあっこ(@Biacco42)

自作キーボード「Ergo42」作者。自作キーボードのDiscordコミュニティ「Self-Made Keyboards in Japan」管理人。

連載:「ハロー、自作キーボードワールド」

自作キーボードの作者であり、キーボード関連のニュース動画「ほぼ週刊キーボードニュース」を配信するぺかそとびあっこが、自作キーボードの世界の“入り口”を紹介していく。


1000台の高級キーボードが1分で完売 開発のきっかけは

ai03さんの公式サイト 背景にあるのは代表作の一つである「Vega」

── ai03さんといえば、ご自身が設計した「Polaris」や「Vega」といったキーボードが、それぞれ4万円ほどにもかかわらず1000台がわずか1分で完売したり、国際的なキーボードコミュニティーで毎年行われている設計者人気投票で2020年の第1位を獲得したりと、まさに今をときめくキーボード設計者ですよね。そんなai03さんが、キーボードにこだわり出したきっかけを教えてください。

キーワード:Polaris、Vega

Polarisは、Fnキーやテンキー、方向キーを省いた60%キーボード。Vegaは、Fnキーとテンキーはないものの、方向キーに加えてエンターキーの右側に1列分のキーを備える65%キーボード。ともにアルミ削り出しケースに真鍮製の重りを付けることで安定性を確保しつつ、ケース内部の空間をフォームで埋めることで打鍵時の感触や音にこだわったモデル。ケースの製造コストが自作キーボードキットの価格を大きく左右する。

(関連記事:「たかがケース」とあなどることなかれ 奥深い「自作キーボードケース」の世界


ai03 確か最初に買ったメカニカルキーボードがCooler Masterブランドの一般的なものだったんです。その頃はPCのスペックを追い求めていたのですが、キーボードを変えたときに実際に自分が直接手で触れる部分を変えるとこれだけPCを使ってる感覚が変わるのか! ということに初めて気付いて。

 当時はPCのスペックが上がれば利用体験が改善されるのではないかなと思っていたんですけど、結局計算能力が数%上がったところで別に毎日使って実感するようなものでもないじゃないですか(笑)

── まあそうですね(笑)

ai03 それに比べたら文字を打つ正確さとか速度とか、PCを使う体験自体が全く変わってしまうような、そういう物理的な違いは大きいと思いましたね。

 毎日10時間とかPCを使用しているので、せっかく使うなら直接的に触る部分は良くしたい、というこだわりがそこで生まれました。

キースイッチの交換からキーボード開発の世界に?

── そして今自らキーボードの設計をしているということは、そこで満足しなかったということですよね?

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