【解説】バーティカルSaaS 国内でも盛り上がりの兆し(1/5 ページ)

» 2021年06月22日 05時00分 公開
[早船明夫ITmedia]

 最近、注目を集めている“バーティカルSaaS"という言葉を聞いたことがあるだろうか。

 セールスフォースやfreee、Sansanといった業界を問わず利用されるクラウド型のシステムは、部署や部門の課題を水平的にカバーすることから“ホリゾンタルSaaS"と呼ばれている。一方「建設」や「不動産」など、特定の業界に根付いた課題を解決するシステムは、垂直を意味する“バーティカルSaaS"と呼ばれ、徐々に認知が広まってきている。

ホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaS

 今年3月、マザースに上場した建設業向けの業務効率化システム「SPIDERPLUS」を提供するスパイダープラスも、バーティカルSaaS企業の1社だ。

 同社は直近年度の売上高は20億円弱ながらも、現時点の時価総額は700億円となるなどトップSaaS企業と肩を並べるバリュエーション(評価額)が形成されており、バーティカルSaaSに対する期待が表れている。

 なぜ今、バーティカルSaaSが盛り上がりを見せ始めているのだろうか。

 この記事ではSaaS企業の分析・データ提供を行う「企業データが使えるノート」のデータを基にバーティカルSaaSを解説していく。

* 業界課題に特化したクラウドシステムは、米国などでは「Industry Cloud」といった呼称が一般的ですが、日本での一般的な認知度からバーティカルSaaSと表現しています。


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