コロナ禍で“家で着る服”が超細分化? 各社の新ブランドから透ける“苦渋の決断”磯部孝のアパレル最前線(1/4 ページ)

» 2021年06月23日 06時00分 公開
[磯部孝ITmedia]

 コロナ禍がダメ押ししたような形で続くアパレル不況。生活者の行動抑制がかかる中ではファッションへの消費意欲は上がらない。そうした中でも売り上げが好調なカテゴリーがある。それが「家着スタイル」と呼ばれる新たなファッション・キーワードだ。

 依然として不要不急の外出自粛が求められる中、“おうち時間”を快適に過ごすための「家着スタイル」とは何か考えてみたい。

おうち時間で求められる「家着スタイル」とは?(画像提供:ゲッティイメージズ)

 YouTubeやアマゾンプライム、オンラインゲームと、今や1日中家にいたところで退屈はしない。お腹が空いたらUber Eatsや出前館で食べたい物を持って来てくれるし、仲の良い友達とはDiscordやLINE電話で時間や場所を気にすることなく話せる。快適なおうち時間は、「自分で好きなように時間を支配することだってできる」とも言い換えられるのではないか。家の中は想像以上にストレスなく快適に過ごせる環境が整っているのだ。

 しかもショッピングだって、わざわざ人混みの中に出掛けなくたってネットで買える。最新トレンドが気になれば、電子雑誌の定額読み放題サービスからファッション情報をいくらでも集められる。そこで、表をご覧いただきたい。2019年度のネットショッピングの市場規模と前年比で見た伸び率、それぞれの市場別でみたネット販売の占有率をまとめてみた。

EC市場規模は衣類・服飾雑貨などが最多

 ネットショッピングの市場規模からいくと、ファッション関係の商品が一番多く1兆9100億円だった。伸び率自体は鈍化しているものの、20年はコロナ禍の1年だったことを思えば、市場規模、伸び率ともにさらに伸びていてもおかしくはない。では消費者は、ネット通販でどのようなファッションを買い求めるのか。

 コロナ禍で在宅時間が増えている中で、買い替え、買い足し商品は別として、旅行などイベントの予定が立てられなければ、衆目に耐えうるような外出着を買う必要はない。そこで、アパレル各社は「家着スタイル」をコンセプトに置いた新ブランドや新ライン、カテゴリーの再編集に着手している。

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