コロナ禍の影響によって、SNSを活用したデジタル販促やECへの対応は多くの企業にとって主要な経営課題となっている。そんな中、オンラインとオフラインを融合した独自の取り組みで成果を上げているのが、ドラッグストア・調剤薬局大手のココカラファインだ。アプリやSNSを活用したクーポンを配布したり、画像や映像を映し出すサイネージ・有線放送・POPなど店内でのコミュニケーションを組み合わせたりして、来店促進と購買につながる導線を強化している。
同社の子会社ココカラファインヘルスケアは、先進的なデジタル販促に取り組む企業によるオンラインセミナー「デジタル販促×SNS最前線」(アライドアーキテクツ主催)にパネリスト企業として参加。同社取締役ドラッグ事業本部商品・店舗企画部長の森志信氏が、コロナ禍での取り組みを語った。ITmedia ビジネスオンライン編集部は森氏に、同社が目指すデジタル販促とその狙いについて聞いた。
ココカラファインは全国で1400店舗以上を展開しているドラッグストアと調剤薬局の大手だ。コロナ禍の1年だった21年3月期の売上高は、前年比マイナス9.3%の減少。インバウンドの需要が激減した都市部や駅前に立地する店舗では売り上げを落とした。その一方で、郊外や住宅地に立地する店舗は好調で、来店頻度は低下しているものの客単価は上昇。ECも好調で、既存の客が購入する頻度が増えたという。
客の来店頻度が減る中で力を入れているのが、アプリを中心としたオンラインの販促と、店舗で実施するオフラインの販促との連携だ。
オンラインはアプリ会員向けのクーポンや、LINEやTwitterなどのSNSを活用したクーポン、それにWebサイトを活用した。オフラインのサイネージやPOP、有線放送など店内での施策と連動させて、客の取り込みを図っている。同社はこうした環境整備を「急速に進めてきた」と森氏は説明する。
「オンラインとオフラインの融合は2年ほど前から進めています。全てのレジをサイネージがついたレジに変更したほか、コロナ禍で来店頻度が減るときだからこそ、アプリに力を入れてきました。理想通りに全部できているかというとまだまだで、これからも改修が必要ですが、アプリやSNSによって普段タッチできていないお客さまをフォローできるようになりました」
オンラインとオフラインの融合を進めるのは消費者を取り込むと同時に、メーカーと組んで販促を実施する目的もある。メーカーが力を入れたい商品があった場合、アプリやSNSでクーポンを配布して、店内の有線放送でPRするなど、ココカラファインが持っているツールを組み合わせた販促ができる。このビジネスモデルはココカラファインが手数料を得る仕組みだ。メーカーにとっても少ない費用での販促が可能で、データが取れるメリットもある。実際にココカラファインの販促を利用するメーカーは増えているという。
「アプリなど多様なツールと連動できる点は、メーカーさんにも喜んでいただいています。求められているのは結果ですね。売り上げの観点だけでなく、販促によって本当に商品の認知が高まり販売につながったのかどうかをファクトベースで示せることが大事だと思っています。
数字を出すためには、販促は1回だけでは終わりません。年に6回実施するなど、継続して取り組むことで、その商品を育てていくことを提案しています。小売でこのような仕組みを持っていることは当社の強みだと考えています」
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