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筑波大の授業DB代替ツールを作った学生、「未踏」のスーパークリエータに認定 オープンソースの組版処理システム開発で

» 2021年05月31日 13時03分 公開
[樋口隆充ITmedia]

 経済産業省は5月28日、2020年度のIT人材育成事業「未踏」で採択したクリエータ31人のうち、21人を「スーパークリエータ」に認定したと発表した。筑波大の授業データベース(DB)代替ツール「KdBもどき」を作成した和田優斗さん(18)も、その1人に選ばれた。

photo 経済産業省のプレスリリース

 20年度のスーパークリエータでは最年少での選出となった和田さんは、オープンソースの日本語組版処理システム「Twight」を開発した。組版とは、印刷物を制作する際に、文字や図をページ上に配置する工程を指す。Twightでは、XML、CSS、JavaScriptの3言語を用いて、テキストベースで雑誌のようなレイアウトの作品を作成できる。高度なグラフィックス処理を実現しつつ、拡張性に優れ、雑誌だけでなく、ポスターや論文執筆など幅広い分野で応用できる点が特徴だという。

photo スーパークリエータの認定を受けた和田さん

 プロジェクトの担当者は「使い物になる、といったレベルではない」と絶賛。「日本語組版処理の要件(JLReq)への準拠に始まり、異体字などの参照、見栄えのする文書に欠かせない多様なテキストスタイリングや文字装飾、また、組版言語という面でもエラー発見のための静的型付け、ライブラリによる高い拡張性など、ありとあらゆる面で妥協のないソフトウェアとなった」と評価した。

 Twightは近日中にオープンソースで公開する予定。和田さんは「未踏事業で得た経験や知見を生かしつつ、新天地で開発活動に一層まい進していく所存です」とコメントしている。現在、ブラウザ上で組版できる「Twight on the Web」の開発も進めている。

photo 開発中の「Twight on the Web」

 和田さんは筑波大情報学群情報メディア創成学類に在籍。4月の履修登録期間中に筑波大の授業DBにアクセスが集中し、メンテナンスに入って利用できない状態が続く中、代替ツールを自主開発したことがTwitter上で大きな注目を集めた。使いやすさなどが評価され、和田さんが開発した代替ツールは、その後、大学公認ツールとなった。

 和田さんが在籍する同学類からは、デザインを基にアプリケーションのコードを自動生成するソフトウェア「AxStudio」を開発した、大渕雄生さん(21)もスーパークリエータに選ばれた他、東京大学からは最多となる8人がスーパークリエータの認定を受けた。

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