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米国による制裁後もファーウェイは死なず Androidを代替するHarmonyOSはどんな状況なのか(1/2 ページ)

» 2021年05月31日 12時39分 公開
[山谷剛史ITmedia]

 中国のHuawei(華為技術、ファーウェイ)が米国政府に端を発するさまざまな規制でピンチに直面したことは広く報道された。今回はあまり知られていない“その後”について紹介したい。

Honorブランドは売却、自社スマホは足踏み続く

 同社が直面した規制について振り返ると、通信インフラでは、米国のHuaweiを対象とした米国製品の禁輸により、Huaweiの5Gインフラの海外進出が滞っている。またスマートフォンについてはGoogle Play非対応となったほか、台湾TSMCがHuawei傘下のHiSiliconが開発するSoC「Kirin」の量産の新規受注を停止した。

 2020年11月にはサブブランドの「Honor」を分離し別会社にすることを発表。Huaweiは「深セン市智慧城市科技発展集団」とHonorのディーラー30社による新会社「深セン市智信新信息技術有限公司」にHonorブランドを売却し、Honorはファーウェイとの関係を断ち独立した。当時Huaweiは悔しさをにじませるコメントをしていた。

photo Honor売却の声明文

 その後の2021年だが、Huaweiからは「Kirin 9000」を採用した折りたたみスマホの「Mate X2」(これが約30万円と恐ろしく高い)と、別会社となったHonorからは台湾MediaTekの「Dimensity1000+」採用の「V40」ほか数機種を発表した。とはいえDimensity1000+採用マシンでは、競合他社がリリースする同価格帯のSnapdragon 888搭載機と比べるには性能ではあまりに分が悪い。最新のコンシューマー製品発表会では、ノートPC「Mate book」やディスプレイ類を発表したが、スマートフォン製品は発表されなかった。

 その間にも中国のライバル企業のOPPOやvivoやXiaomiがスペックを更新した新製品をリリース。足踏みしたHuaweiはシェアを大きく落とした。

 Strategy Analyticsの2021年第1四半期の世界スマートフォン出荷台数レポートによると、Huawei、Honorともシェアは5位以下の「その他」に凋落。Canalysの同四半期の中国スマートフォン出荷台数レポートにおいても、Huaweiは前年同期の30万1000台から14万9000台に半減し、シェアは3位に落ちた。

 ファーウェイの余承東氏は微信(WeChat)のグループチャット内で、「米国の制裁のせいで2年間という短い時間で極端な状況に追い込まれ、ハイエンドはAppleに、ミドルとローエンドはSamsung、OPPO、vivo、Xiaomiに取られた」と恨み節のコメントをしている。

 HuaweiはIoT製品とクラウドを活用したSI企業の一面と、スマートフォンなどのコンシューマー向け製品をリリースする一面がある。SI事業については、中国と世界でさまざまなプロジェクトに関わっている。

 特に中国国内においては、ネットインフラから学校、医療、農業、金融、道路や鉄道などの交通、スマートシティーに至るまでさまざまな業界との提携を発表し、ありとあらゆるニーズに応えたシステムを開発している。中国国内では失速という雰囲気はまるでない。

 一方スマートフォンをはじめとしたコンシューマー向け事業だが、スマートフォンの柱を失いそのままコンシューマー事業をフェードアウトさせるのかというと答えはノーだ。

 スマートフォンのリリースはまだ厳しいが、一方で現段階ではスマートフォンが作れていない中で、各種同社製品を「つながること」に重心を向けている。発表会ではHuaweiがプッシュするスマートテレビ「華為智能屏」の廉価版「華為智能屏SE」を発表し、ますます繋がることを重視している。

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