2度目の緊急事態宣言に”楽観視”は禁物 アパレル企業が今やるべきことは備えあれば憂いなし(1/3 ページ)

» 2021年01月13日 08時00分 公開
[磯部孝ITmedia]

 2回目となる緊急事態宣言が1都3県に発出された。13日には大阪、京都、兵庫の関西3府県と、愛知、岐阜なども対象となる見込みだ。今回は飲食店を中心とした時短要請との事だが、1000平方メートル超の店舗には、営業時間短縮を要請する働きかけもあって都心の百貨店、ファッションビルは1〜2時間の閉店繰り上げを決めた。

 お正月気分も吹っ飛ぶような事態は「ついに来たか」「いよいよだな」と、年末年始にかけて急増していく新規感染者数のニュースに恐怖心を感じる人も多いだろう。2回目となる今回の措置に向けて、アパレル企業もコロナ対応が試される事になる。そこで、考えられるリスクと乗り越えるためのヒントを探ってみたいと思う。

アパレル業界に考えられるリスクと乗り越えるヒントは

 表をご覧いただきたい。これは2020年3〜5月のアパレル主要企業の既存店売上高をまとめたものだ。

 いざ振り返ってみると3月2日から全国一斉に学校が休校となり、オリンピック開催が中止、週末の外出自粛要請から週末休業が始まったのが3月だ。段階的に外出自粛要請レベルを上げていったにも関わらず、なかなか新規感染者数が減らない。そして4月7日に東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県に緊急事態宣言が出され、同16日に対象エリアを全国に広げるに至った。

前回の緊急事態宣言前後の既存店売上高(各企業発表の既存店売上高より筆者作成)

 当初は期間も1カ月程度を目標に、4月末からの大型連休は「ステイホーム」の掛け声のもと連休を家で過ごしていた人が多かったが期待通りに新規感染者数は下がらない。結局、連休までとしていた緊急事態宣言も延長を余儀なくされ、最終的に緊急事態宣言が解除できたのは5月25日と、実に2カ月近くも時間がかかったのだ。

 緊急事態宣言前後の既存店売上高は、リアル店舗の営業状況をそのまま反映したものと言っても良さそうだ。休業実施期間中はInstagramなどを使って、ショップスタッフの趣味や気付きなどの日常を投稿して顧客の関心をつなぎ留めようとした。他にもショップスタッフによるコーディネイトを多数投稿してオンライン経由による販売促進に取り組んだ企業もあった。

 しかし、結果にコミットできたかというと疑問符がつく。また「取り組まなかったらどうだったのか?」との見方もあろう。結局、前回の緊急事態宣言で思い知らされたのは、リアル店舗の存在感の大きさだったのではないか。

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