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M1 Macは敗れたままなのか? 音楽制作プラグインの負荷を再検証したiOS音楽アプリプロデューサーがM1 Macを使ってみたら(1/3 ページ)

» 2021年01月15日 07時37分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]

 音楽系クリエイティブワークにおけるM1 Macのパフォーマンスを紹介する連載の第4回目は、Apple純正のDAWである「Logic Pro」やAvid「Pro Tools」における、プラグイン絡みの高負荷の話題について触れてみたい。筆者のApple Siliconマシンは、Mac miniの8GBメモリ、256GB SSDという最安値構成モデルだ。

photo Mac miniの8GBメモリ、256GB SSDという最安値構成モデルは、ヘビーな楽曲制作に耐えうるのだろうか

 前回の「M1 Mac、まさかの敗北 Apple純正Logic ProでIntel Macに勝てないとは」では、M1 Mac mini(8GBメモリ)とIntel MacBook Pro 2020(32GBメモリ)上で、Logic Proを起動しリバーブプラグインを設定したトラックの再生可能限界数を比較した。「比較するならメモリをそろえろ」という貴重な意見も多数いただいたが、前々回の「最安M1 Mac mini、まだApple Silicon最適化されていないPro Toolsの性能に脱帽」では、8GBメモリのM1 Mac miniが圧勝したことから、検証条件の連続性を担保する意味で、あえて「8GB対32GB」での検証を実施した。

 しかし、Apple純正の「Space Designer」では、Intel MacBook Pro 2020が勝利し、サードパーティー製の「Fabfilter Pro-R」では、反対にM1 Mac miniが勝利するという、まったく正反対の結果が出たことから、「謎が謎を呼ぶテスト結果」と締めくくった。

 今回は、その謎を解明するためにリバーブプラグインにおけるプログラミング方式の差異(後に詳述)に着目してテストした。結論から言うと、前回のFabfilter Pro-R対決において、搭載メモリが4分の1しかないM1 Mac miniが勝利したのは、Fabfilter Pro-Rというプラグインがユニバーサル化され、かつ、秀でた能力を保持していることが大きく影響した、としか考えられない結果となった。つまり、「Fabfilter Pro-RだからM1 Mac miniが勝った」というわけだ。

 そこで、今回は、Fabfilter Pro-Rと同等のプログラミング方式の、なおかつ、ユニバーサル化されているApple純正の「ChromaVerb」(Logic Proに内包)で同等のテストを実施した。前回同様、M1 Mac mini(8GBメモリ)とIntel MacBook Pro 2020(32GBメモリ)で、Logic Proを起動し、192KHz/24bitのPCMファイルを読み込んだトラックに、ChromaVerbを設定してトラック数を順次増やしていった。

photo 検証条件をそろえるために、Logic Proに付属の「ChromaVerb」で高負荷のテストを実施した
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