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「PCの復権」「ローカル回帰」の次に来るのは? 2021年のテック・ガジェット業界を予測する(1/4 ページ)

» 2020年12月31日 07時37分 公開
[西田宗千佳ITmedia]

 年末(2020年)最後のコラムなので、外れるのを承知で2021年の予測をしてみたいと思う。

この記事について

この記事は、毎週月曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」』から、一部を転載したものです。今回の記事は2020年12月28日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額660円・税込)の申し込みはこちらから

 昨年(2019年)も予測をした。もちろんコロナ禍は想定できていたはずもないので、全てが当たったわけではない。だが、全体としての方向感はそんなに間違っていなかったように思う。

 それは「ローカルへの回帰」だ。ネットが例年以上に人々をつないだ時代ではあったが、それだけに人とネットのインタフェースとなる「ローカル機器」の話は増えた。

 では2021年はどうなるのか? その辺を予測してみよう。

快適さをソフトで実現するため、「ローカルハードの性能」が重要だった2020年

 2020年の予測として、「ローカル機器に搭載された機械学習コアの価値が高まる」と考えたが、これは正しかった。ただ、その方向はコロナ禍で少し変わったような気がする。

 2019年に予測した機械学習コアの使われ方は、カメラの高画質化や音声認識に関するものだった。だが、実際に広がったのはビデオ会議での「バーチャル背景」であり、キータイプ音などの「ノイズ除去技術」だ。どちらも機械学習による成果には違いないが、ここまで大きな価値を持ったものになると2019年のうちに予測できた人はいないだろう。

photo NVIDIAのGPUパワーを駆使してノイズ除去や快適なビデオ会議映像を実現するNVIDIA Broadcast

 どちらもソフトウェア技術そのものだが、それを実現するには「自由度が高く、機械学習の演算能力が高いハードウェア」が必要になる。スマートフォンは、メーカー側が機械学習によってソフトを組み込んで高度化するには向いているが、アプリ側で高度化するには適さない。全てが最新のハイエンドスマートフォンであるならばいいのだが、決してそうではないからだ。PCも古い製品を使い続けている人は多いが、それでも余剰性能は「古いスマートフォン」よりは高く、ソフトの自由度も高い。

 人が快適と思うものがコロナ禍で変化し、それを実現するためにソフトウェアが活用された結果、性能やソフト開発に余裕がある機器がありがたい位置付けになった。特に、「人間の脳なら簡単にできることだが、それを機械にやらせるとストレスや手間が減る」という方向性の機能が重要視された、と感じている。

 結果として2020年は「PCが復権した年」になったように思う。本来、2020年はPCの売り上げは伸び悩むと予想されていたのだが、想定外に伸びている。

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