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AIは“イケてる”ファッションを作れるか 「ダサいたま」の汚名返上? さいたま市とNECの挑戦(1/3 ページ)

» 2020年12月25日 18時40分 公開
[安田晴香ITmedia]

 まずは次の画像を見てほしい。向かって左のモデルはタートルネックでボリュームのあるトップスと、ピンクのグラデーションのような模様のパンツをはいている。右のモデルは腕の片方や腹部の生地が一部切れたトップスと、オレンジに黒い模様が入ったスカートを着ている。

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 実はこの2つ、いずれもNECが開発したAI「NEC the WISE」が“カッコいい”と判定したトップスとボトムスの画像を基に本物の服を仕立てたもの。実物は10月から11月まで埼玉県さいたま市で開催された「さいたま国際芸術祭2020」内で、パリコレもとい「さいたまコレクション」として展示された。

 ファッションの良さを定量的に測るのは難しい。「カッコいい」の他にも「かわいい」「ダサい」など尺度はいくつもあり、結局ファッションに対するイメージは個人の感性に委ねられ、主観的になる場合が少なくない。

 そんな主観的になりやすいファッションの基準において、AIが“カッコいい”“ダサい”を定義する仕組みをどのように作ったのか? プロジェクトメンバーに聞いた。

“ダサいたま”の地からコレクションを

photo さいたま市の吉田英嗣さん(さいたま国際芸術祭実行委員会事務局)

 アート作品の展示や音楽アーティストの公演などが行われるさいたま国際芸術祭。さいたま市を始めとする実行委員会が中心となって、2016年に初開催。今年で2回目だ。

 同芸術祭において先端技術を活用したプロジェクトを検討する際、AIを活用した取り組みができないかという案が浮上。市の吉田英嗣さん(さいたま国際芸術祭実行委員会事務局)は「AIを使ったデジタルアート展などを他社と共同で開催していたNECに、一緒にやろうと声を掛けました」と話す。

photo 電通の浜谷辰彦さん(さいたま国際芸術祭 キュレーター)

 ファッションをテーマとした理由は「さいたまは“ダサいたま”と称されることもありますが、AIを活用したファッションプロジェクトを行うことで、こうしたネガティブな印象をひっくり返したいと思いました」と同芸術祭のキュレーターを務めた電通の浜谷辰彦さんは振り返る。「『ファッション不毛の地』ともいえる場所から“コレクション”を発信することに意味があると思いました」(浜谷さん)

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