Facebookが進めてきた暗号資産のLibraのローンチが秒読みに入ってきたようだ。早ければ2021年1月にも発行される可能性が出てきた。米Financial Timesが報じた。併せて、12月1日に、Libraの名称をDiemに変更した。
Diemとはラテン語でDayを表し、「プロジェクトの新しい日を意味する」とプレスリリースでうたっている。同時に運営機関であるLibra協会もDiem協会に名称を変更した。
Libraは2019年6月に発表、世界各国の複数通貨(通貨バスケット)と価格が連動する仕組みのステーブルコインとしてもともと構想された。しかし各国の金融当局の警戒を招き、当初Libra協会に参加を表明していた、大手決済企業やEC企業など28社は、発行に向けた動きがトーンダウンしていく中で脱退が増加した。そんな背景の中、4月17日に大きく方向転換し、単一通貨に連動するステーブルコインを目指すことを発表していた。
当初のLibra構想からは大きく後退したものの、発行に向けて現実路線を歩みつつあり、名称変更は発行に向けた第一歩だともいえる。
- 「暗号通貨」の看板を下ろしたLibraの勝算
国際的な送金・決済ネットワークを目指すLibra協会は、2020年4月に大きなピボット(方針転換)を行った。「暗号通貨」(cryptocurrency)の看板を下ろし、「決済システム」(payment system)となったのである。ローンチはまだ先のことだが、Libraはゆっくり成長して国際的な決済ネットワークの世界のゲームチェンジャーになるかもしれない。
- FacebookのLibraが、単一通貨のステーブルコインに方針転換
通貨バスケットを裏付けとして、価格の安定を目指していたFacebookのLibraが、それを断念。単一通貨を裏付けとする発行にかじを切った。また、将来の非中央集権化ブロックチェーンへ移行するという計画も破棄された。
- Libraを脅威と見る各国 それでも「ダメ」と言えない理由
結局のところ、投機資産として使われる従来の仮想通貨に対し、Libraは本当に使われるかもしれない仮想通貨だ。だからこそ、各国の金融当局はLibraへの警戒を強めるが、Libraが解決しようとしている「皆のための安価、簡便な支払い決済、送金手段の提供」は現代の金融の根本課題でもある。
- ビットコインとLibraは何が違うのか?
グローバルに使うことを目指した暗号通貨としてFacebookが主導するLibra。技術面ではなく利用用途面から見ると、ビットコインと大きな2つの違いがある。
- Libraは日本で使えるのか? 国家が警戒する理由
世界各国の政治家や金融当局が懸念を表明するLibra。その理由には、プライバシーの問題とアンチ・マネー・ロンダリング対策があるが、最も重要なことは、Libra経済圏が大きくなると、国家の金融政策に影響を与えることだ。
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