今、東京において、最も長い行列に並ばなければならない飲食店の2トップは、おそらく吉祥寺の「挽肉と米」と渋谷の「極味(きわみ)や」ではないだろうか。どちらもハンバーグの専門店である。実は、コロナ禍にあっても食のトレンドが動いており、ハンバーグがブームになってきているのだ。
挽肉と米の人気はすさまじく、行列がさばききれなくなっているほどだ。同店は午前11時にオープンするのだが、8時30分から店の前まで行って、席を確保するために記帳しなければ入店できない。ネットや電話での予約はできない。
吉祥寺には、「いきなり!ステーキ」、沖縄から進出したコストパーフォーマンスの高さが話題の「やっぱりステーキ」、松屋フーズ系列の人気店「ステーキ屋 松」といったように、行列ができる(または過去にできていた)ほどの著名な格安ステーキ店が集まっている。しかし、挽肉と米の爆発的な人気は、これらの店をはるかに上回っている。
ハンバーグの台頭に対して、ステーキは後退局面に入っていると考えられる。
極味やも負けていない。渋谷パルコ地下1階の「CHAOS KITCHEN(カオスキッチン)」と名付けられたレストラン街において1強状態であり、ピーク時には2時間待ち、3時間待ちを覚悟しなければならないほどだ。カオスキッチンには、ジェンダーフリーを表現したミックスバー、ビーガンをテーマにした居酒屋など、近未来を意識した飲食店が集まっている。非常に“攻めた”レストラン集合施設だが、こういった精鋭が集まる中で、集客的に圧勝している事実は見逃せない。
渋谷においても、いきなり!ステーキに熱狂していた顧客が、ごっそり極味やに移っている印象を持つ。
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