鉄道会社の終電繰り上げは「必然」、これだけの理由コロナ以前からの課題(1/4 ページ)

» 2020年11月27日 08時00分 公開
[小林拓矢ITmedia]

 この1年の鉄道業界は、コロナ禍で利用者減少、決算見通しも今期は悪化という状況だ。そんな中、そろそろ来春のダイヤ改正の話が出始めている。今回のダイヤ改正で注目されているのが、「終電繰り上げ」の話だ。各社発表の概要を見ていこう。

JRのほか私鉄各社が終電の繰り上げを表明している(写真提供:ゲッティイメージズ)

口火を切ったJR西日本

 最初に「終電繰り上げ」を打ち出したのは、JR西日本だった。JR西日本は2019年10月時点の社長記者会見で、近い将来に深夜帯ダイヤを見直すと言及していた。日付から分かるように、そのころはまだコロナ禍なんて存在していなかった。

 終電繰り上げの理由として挙がったのは、保守人員の不足、深夜帯利用者の減少といったもので、深夜帯利用者の減少については、夕方から夜にかけての利用者が増えているといった話もあった。

 20年3月のダイヤ改正では終電繰り上げを行わなかったものの、近い将来に実施されることは確定的だった。そして20年9月17日にその詳細を発表し、東京〜新大阪の「のぞみ」最終便で到達できる範囲が狭まることとなった。結果的には48本の列車が減るが、人件費や電気代などを節約できるという。

 またその他のメリットとして、深夜に保線作業の時間を長く確保できることから、労働環境を改善できるという。厳しい作業に従事してくれる作業員を確保できるということだが、実際には作業員の労働密度を落とし、あるいは長時間作業に従事できるようにするのだろう。

 筆者は、この動きが他社にも広がるか、大変気になっていた。

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