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本格料理に進出? 働き方の変化で“食の新需要”獲得へ、湖池屋の「ニューノーマルおやつ」戦略アフターコロナ 仕事はこう変わる(1/3 ページ)

» 2020年11月27日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

アフターコロナ 仕事はこう変わる:

 新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、業務の進め方を見直す企業が増えている。営業、在宅勤務、出張の是非、新たなITツール活用――先進的な取り組みや試行錯誤をしている企業の事例から、仕事のミライを考えていく。

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 新型コロナウイルスの影響が長引き、消費者の生活習慣も大きく変わった。在宅時間が長くなった人が多く、今年は家で過ごすためのアイテムや商品が注目を浴びた1年になった。特に、日常生活と切っても切れない「食」でもその傾向は強く、料理に使う材料や調理器具、家で食べられるテークアウトなどが売れ筋となっている。

 コロナ禍による食生活の変化に商機を見いだそうとしているのが、菓子メーカーの湖池屋だ。得意とする「スナック」の価値をあらためて見直し、生活の変化に合わせた「ニューノーマルおやつ」を考案。本格的な“料理”と組み合わせた菓子商品を展開する。

 新しいコンセプトの商品によって、朝食、昼食、夕食に次ぐ“第4の食”の需要を開拓するという。お菓子の枠を超え、新しい市場への進出を目指す。

湖池屋が「ニューノーマルおやつ」という新戦略を掲げた。21年春に新商品を発売する

コロナ禍で「プライドポテト」は6割増、ごほうびやリラックス需要

 湖池屋の主力商品は、コロナ禍での在宅需要増加に伴って売り上げを伸ばしている。2020年2〜9月の販売金額は、看板商品の「ポテトチップス のり塩」が前年同期比25%増。特に、リニューアルした高付加価値商品が好調で、「湖池屋プライドポテト」は65%増、「じゃがいも心地」は73%増、「KOIKEYA STRONG」は2.4倍もの伸びになった。

 同社の調査によると、コロナ禍でスナックを食べるときの目的は「軽い気分転換やストレス解消」「リラックスやくつろぎ」「自分へのごほうび」といった回答が多かった。佐藤章社長は、11月25日に開いた新戦略説明会で「リラックス、ごほうび、ストレス解消が、消費者の心に寄り添うキーワード」と話した。高付加価値商品は、そういったニーズに合った商品だったため、販売を伸ばすことができたという。

高付加価値商品「湖池屋プライドポテト」などが好調

 一方、食へのニーズだけでなく、食習慣も変化している。佐藤社長は、コロナ禍によってお菓子、特にスナック菓子の購入頻度が増えたことを指摘し、その背景について、テレワークなどで在宅時間が増えた人の「食事回数の増加」を挙げる。間食を含めて1日4食以上食べる人が増え、間食が食事に置き換わることがある人も多いという。佐藤社長は「スナック菓子が食事の代替になっている。真剣に対応していかないといけない」と話す。

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