伊藤忠と日本気象協会、気象データでアパレル需要予測――在庫の大量廃棄防止勘や経験でない判断を(1/2 ページ)

» 2020年11月25日 17時00分 公開
[服部良祐ITmedia]

 日本気象協会と伊藤忠商事は11月25日、気象データを用いたアパレル向け需要予測サービスで業務提携すると発表した。伊藤忠の集めたアパレル各社の販売データと協会の気象データを連携させる。気温の予報などから分析した商品需要の推測情報をアパレル企業に提供し、最適な販売計画を立てられるようにする。

photo 気象データからアパレル商品の需要を予測!?(写真はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

最適なタイミングで値引き

 伊藤忠の担当者によるとアパレル業界では昨今、商品の過剰発注による余剰在庫・大量廃棄が問題になっている。そこで、従来の属人的な経験則に基づく発注手法だけでなく、過去の販売データや天気予報に基づく客観的な需給予測を導き出すことで、在庫を余らせない適切な量・タイミングの発注を実現させるという。

 サービスの提供先はアパレル系企業。まず伊藤忠がアパレル各社からこれまでの販売データを収集し、日本気象協会の持つ気象データと掛け合わせる。販売動向の原因について市場動向、気象、値引きといった各要因から分析した上で、気象予報データに当てはめることで、未来のアパレル商品需要を予測する。

photo 日本気象協会と伊藤忠商事の新サービスの概要(公式リリースから引用)

 例えば、両者のデータから「今年は暖冬の影響でアウターは〇%売り上げが減少した」と分析する。この結果を踏まえて「次の冬は前年より気温が低いと予報で出ていることから、売り上げは逆に〇%増加する」などと需要を推測する。こうした情報に基づき、アパレル企業は在庫を余らせないように適切な量で事前発注を行ったり、店頭で最適なタイミングでの値引きを行うことができるという。

 日本気象協会によると、気象の長期予報は最長6カ月先まで可能という。そこでアパレル企業は「次の秋冬のシーズンはこれくらい服が売れる」といった推測に基づいて、シーズン前に大規模な発注を行うことができる。もっと短いスパンの中期予測に基づいた追加発注や在庫調整も想定しているという。

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