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静脈や顔をおサイフ代わりに 日立の新サービスの仕組みとは?

日立製作所は、「生体認証統合基盤サービス」の提供を始める。生体認証を活用した本人認証やキャッシュレス決済向けのクラウドサービスで、手ぶらでのキャッシュレス決済やチケットレスでの入場などを可能にする。

» 2020年11月02日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 日立製作所(以下、日立)は2020年10月30日、「生体認証統合基盤サービス」の提供を開始した。同サービスは、指静脈や顔、虹彩などによる生体認証を活用した、本人認証やキャッシュレス決済向けのクラウドサービスだ。

サービスの概要図(プレスリリースより引用)

 日立では、2020年12月初旬から同社の横浜事業所で、指静脈情報とクレジットカード情報を関連づけたキャッシュレス決済を導入し、食堂やカフェなどで手ぶらでのキャッシュレス決済を可能にする。キャッシュレス決済の対象施設は、順次拡大する予定だ。

横浜事業所での使用イメージ(プレスリリースより引用)

“おサイフ生体”の仕組みとは

 生体認証統合基盤サービスは、一体どのような仕組みで、生体認証を"おサイフ化”するのだろうか。

 生体認証統合基盤サービスは、日立独自の「公開型生体認証基盤(PBI)」と、決済連携機能や商業施設での入退場管理機能などを組み合わせたものだ。飲食店やイベント会場、レジャー施設などで、手ぶらでのキャッシュレス決済やチケットレスでの入場などが可能になる。

 生体情報に加えてクレジットカード情報も登録することで、現金やクレジットカード、スマートフォンがなくても、本人かどうかを認証して決済できる。生体情報をクラウドで管理するため、一度登録すれば、あらゆる施設で本人認証や決済が可能になるという。

 なおPBIは、生体認証とPKI(Public key Infrastructure:公開鍵暗号基盤)を組み合わせた、日立独自の認証基盤技術だ。生体情報から公開鍵を生成し、クラウドで管理する。

 その際、復元不可能なデータに変換するため、もしもクラウド上の公開鍵が漏えいしても、公開鍵からは生体情報やユーザーの特徴に関する情報は復元できない。本人認証や決済をする際は、本人の生体情報からその都度秘密鍵を作成し、対になる公開鍵と照合する。秘密鍵は本人の生体情報からしか作成できないため、なりすましを防げる。

 日立では、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、全世界でキャッシュレス決済の比率が高まっている半面、不正利用の被害額も増加しており、より厳重な本人認証の必要性が高まっているとしている。

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