新型コロナウイルス感染拡大による働き方や生活の変化で“移動”を巡る意識は一変し、大手企業の業績にも影を落としている。JR東日本が10月28日に発表した2020年4〜9月期の連結業績は、売上高が前年同期比5割減。中間決算として初めて赤字を計上した。移動に対する需要の変化がコロナ以前に戻ることは考えにくく、同社は“生活”を軸とした多様な事業を打ち出すことで、新たな移動需要を創り出そうとしている。
JR東日本の20年4〜9月期は、売上高に当たる営業収益が48.2%減の7872億円。運輸事業のほか、流通・サービス事業、不動産・ホテル事業が軒並み振るわず、上半期として過去最低となった。営業損益は2952億円の赤字(前年同期は2965億円の黒字)、純損益は2643億円の赤字(同1885億円の黒字)に転落した。
4月以降、緊急事態宣言が出され、解除後も新規感染者数が増加したことなどから、鉄道輸送量は激減。新幹線は73.4%減と大幅なマイナスとなり、在来線も特に定期外利用が落ち込んだことから35.2%減だった。その結果、鉄道運輸収入は54.2%減の4343億円にとどまった。
また、駅構内店舗や広告代理業が減収となった流通・サービス事業の売上高は約5割減、駅ビル運営やホテル業の不動産・ホテル事業も約3割減と、新型コロナが広く事業に影響を与えた。
通期の業績見通しは、9月16日に公表した予想を据え置いた。売上高は前期比34.5%減の1兆9300億円、営業損益は5000億円の赤字(前期は3808億円の黒字)、純損益は4180億円の赤字(同1984億円の黒字)の見通し。鉄道運輸収入は下期に徐々に回復すると見ている。また、収益確保のため、グループ全体で約1500億円のコストダウンも計画している。
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