フィンテックで変わる財務

LINE Payと三井住友カード戦略提携 LINEユーザー基盤と三井住友加盟店網生かす

» 2020年10月30日 14時49分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 LINE Payと三井住友カードは10月30日、戦略的提携を進めると発表した。LINEのユーザー基盤と、三井住友カードの加盟店網という両社の強みを生かし、キャッシュレス決済を推進する。三井住友カードは、4月にVisa LINE Payカードの発行を開始しており、この取り組みを拡大する形だ。具体的な取り組みとして3つを挙げた。

提携の概要(プレスリリース)

 1つ目は、LINE Payの機能強化だ。従来の「Visa LINE Payクレジットカード」に加え、VisaブランドのバーチャルプリペイドカードをLINEアプリ内で発行し、iD加盟店で利用できるようにする。これまでLINE PayはQRコード決済を中心としていたが、全国100万以上のiD対応店舗で利用できるようになる。12月からの開始を予定している。

 さらに、クレジットカードから随時チャージしてLINE Payを利用できる「チャージ&ペイ」の対応カードも拡大する。これまで、Visa LINE Payクレジットカードだけが対象だったが、2021年春から三井住友カードが発行するVisaブランドのカードでも利用できるようにする。

LINE Payの決済手段は大きく広がることになる(プレスリリース)

 2つ目は、三井住友カード会員に向けたLINEの活用だ。三井住友カードを利用するとLINEへ利用通知を行う。また、LINE上でクレジットカードの各種手続きや設定も行えるようにする。LINEのAIプラットフォーム「CLOVA Chatbot」を使い、LINE公式アカウントを通じてチャットボットによる問い合わせ対応も可能にする。また、LINEの各種サービスを利用した際、三井住友カードのポイント制度であるVポイントの還元額を上乗せする。

 3つ目は、双方が持つ加盟店へのサービス強化だ。三井住友カード加盟店へのLINE Pay導入を推進するとともに、両社が保有するデータを活用した、新たなサービスやマーケティングソリューションを検討する。

 三井住友フィナンシャルグループはSBIホールディングスと資本業務提携を結んでおり、三井住友カードも住信SBIネット銀行と、モバイル決済サービス分野での提携協議を始めている(記事参照)。大手カード企業が、モバイル決済を軸に大胆な提携を各所で進めており、業界構図の変化が想定される。

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