「AIが経営会議に参加する未来」は、意外と近くにあるCitrix Overseas Report

AIの技術が洗練される中、経営幹部レベルの会議にAIを参加させ、投票権を与える企業も出てきています。突拍子もない取り組みに思えるかもしれませんが、そこには「機械」としてのAIだからこそ、重要な意思決定に提供できるメリットがあるのです。ただし、そのリスクと課題も忘れてはいけません。両面からこの取り組みを考えてみましょう。

» 2020年10月29日 07時00分 公開
[尾羽沢 功ITmedia]

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 故スティーブン・ホーキング氏はかつて「AI(人工知能)における真のリスクは悪意ではない。その能力だ」と述べました。同氏はビジネスリーダー達に向けて「AIの導入は慎重かつ目的を明確にすることが重要だ」と指摘すると同時に「将来的な変化も受け入れられるようにすべきだ」と語っています。

 今や、AIの判断が経営幹部レベルで真剣に検討される時代に差し掛かっています。人と機械が相互補完的に調和しながら共に働く未来が近づきつつあるのです。しかしAIによるリーダーシップが組織に及ぼす影響がどれほどの大きなものかは、いまだに正確には分かっていません。AIには、人間の意思決定をより正確なものにする力が本質的に備わっています。人の持つ創造性やイノベーションの可能性を大切にしつつも、役員会における複雑な問題の解決や、バイアスのかからないデータ分析がAIによって可能になるからです。

 現代のビジネス社会には、すでにAIが深く浸透しています。AIが正確かつ新たな働き方の扉を開いたケースも見られます。AIが経営幹部のレベルに導入される、というのは決してとっぴな話ではないのです。

 実際、インフォシスによる最新の研究「AI時代のリーダーシップ(Leadership in the Age of AI)」によると、世界の企業の45%が「AIを運用したことで、人のみによる場合と比べて飛躍的に業務の処理速度および正確性が向上した」と回答しています。PwCのレポート「2019 AI Predictions」でも、62%の経営幹部が「予測分析によってビジネスの意思決定が強化される」と予想している通り、今後数年間でAIの有効性はさらに高まるとみられます。こうした変化に懸念を覚えるリーダーも少なくないでしょう。しかし、可能性に目を向け、将来的にAIが人の意思決定をいかに改善できるかを理解することは大事です。

AIに人と同じ意思決定を任せた先駆者たち

 AIが経営幹部と一緒に意思決定に参加する――。そんなことは遠い未来の話と思うかもしれません。しかし、実は既にそれを実行している「先駆者」とも呼べる企業は、世界のあちこちに存在します。

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